エルフ始めました。

東郷 アリス

第28話 休憩室にて。



結局、休憩室はすぐに見つかった。本当に少し歩いたところにあって、なぜ姉さんが迷ったかが不思議なほどだった。


俺は休憩室にあったインスタントコーヒーを手に取り、使い捨てのコップにささっと入れた。
そして置いてあったポットでお湯を注ぎ、近くにあったマドラースプーンでかき混ぜた。
姉さんはというと、自動販売機でオレンジジュースを買い、フタをとってゴクゴクと飲んでいる。


俺も飲むか……


俺は自分で注いだコーヒーをふうふうと冷ましてからずずっと口に入れた。


「うえっ、苦っ」


そういえば、自分がエルフになり、好みが変わってしまったことを忘れていた。
そして、それに気づいた姉さんが、俺にスティックシュガーを何本か手渡した。


「お、サンキュー姉さん」
「うん、どういたしましてだよー」


姉さんにお礼を言うと、俺は貰ったスティックシュガーを全て投入した。これぞ甘党の極み。まあ、初めてやったんだけどな。


俺は、マドラースプーンで砂糖の入ったコーヒーをかき混ぜ、味を確かめるようにペロッと舐めた。


うむ、甘くて美味しい。


俺は一気にそれを飲み干した。しかし、やはり甘すぎたようで、俺も自販機で林檎ジュースを購入することにした。


そして林檎ジュースをちびちびと口に入れた。


やはり俺の手作りは、出来合いのものには叶わないらしい。そんなことを感じつつ、俺は先の撮影のことを脳裏に思い浮かべていた。
というか、何故俺のことを撮ることに至ったのかをまず知りたい。未玖の考えだから、どうせロクな事になりはしないだろう。そうだ。そうに決まってる。
そう確信していると、丁度よく未玖たちが休憩室に入ってきた。


未玖は俺がいることを確認した後、ポケットから何かを取り出した。スマホだった。そして、よく見たことのあるスマホだ。


「って、それ俺のスマホ!!」


俺は未玖の手からスマホを奪い、データが無くなってないか、その他諸々を急いで確認した。
そして確認した結果、何も弄られてない事がわかった。いや、マジで助かった。今までゲームで課金してきた事がチャラになるかと思ったもん。


「取り敢えず言っておくけど、トゥイッターのアカウント少し弄らせてもらったから」
「トゥイッター?」


トゥイッター自体は結構見たりするが、トゥイートはそんなしないため、正直どうでも良い。いや、良くはないな。しかし、優先度はかなり低い。低いのだが。


「えっ、えぇええっ!?」


トゥイッターを開いた先には、先まで撮っていた写真の何枚が、このトゥイッター上にアップされていた。

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