ソウ-剣士としてLegend級冒険者を目指すが、手にしたギフトは謎の魔法?-

チョコとコロン

意外な推薦状

良いギフトはもらえなかった。しかし、ソウはそんなことでlegend級冒険者を諦めるほどやわではなかった。そして、ソウは次にやるべきことを考えた。
フィエルテ魔法・騎士学校以外の騎士学校または魔法学校の試験を受けることも視野に入れよう。冒険者の登録は、国の指定学校の卒業生以外は、基本的に15歳からであるためできない。そして、それよりもまず、儀式でもらったギフトについて知る必要があると思い、ソウは街にある図書館に足を運んでいた。

街にある唯一の図書館ということもあり、比較的大きな図書館であった。入館の際に銀貨10枚、つまり10000メルを支払った。

ソウは内心で、カイザーに餞別をもらわなければ、このスキルについて知ることすらできなかったと冷汗をかいた。
この世界では本は貴重であるため、図書館の費用は高く、本を購入するのはお金に余裕のある貴族が多いくらいに貴重なものだ。

図書館に入り、ソウは魔法に関する本をまず探した。
ソウは、剣一筋であったために、魔法の知識は皆無だった。図書館の中を探していくと『ゴブリンでも分かる魔法の基礎知識』という本を見つけ、手にとった。文字に関しては一通りカイザーに教わったが、あまり文字を読むのが得意ではなかった。そんな慣れない本であったが、ゴブリンでも分かるというタイトルの通り、絵が多めであり、少し魔法について理解できた。そして、このほんの中では基本属性の火・水・風・土の他に雷や闇、光などの属性があり、その他の魔法は無属性魔法と分類されていた。無属性魔法自体がレアであり、時魔法や空間魔法、身体強化魔法、などがある。そして、その中の一つに気魔法があるということだった。そして、魔法は基本的に階級があるということが分かった。例えば、第一階級火魔法は、火を生み出すレベルであり、ファイヤーボール(火球)の大きさも掌サイズだ、第二階級火魔法になると、炎を生み出すレベルであり、大人の胴体くらいの大きさになる、それにより魔法の幅も広がるというわけだ。火魔法以外の基本属性魔法も階級が上がると規模が上がるという感じのようだ。

しかし、肝心の気魔法に関しては分類だけが記載されており、他のことはほとんど記述がなかった。使い手がいないのだろう。
今度は気魔法に関する本を探したが、見つからなかった。
気がつけばもう夕方になっていたので、時間的にもう宿に行った方がいいだろう。
宿はカイザーが紹介してくれた森の悠心亭という宿があるらしいので、図書館を出て、そこに向かおうと歩き出した。
その時、私を待ち伏せしていたかのようなタイミングに高身長で、いかにも高そうな布を纏った男が話しかけてきた。

「フィエルテ魔法・騎士学校に興味はありますか?」

「え?」

ソウは耳を疑った。自分が行きたいと思っていた学校の名前を突然男が口に出したからだ。しかも、宗教の勧誘のような口調で。

「申し訳ございません。申し遅れました。私(わたくし)、ナハトファル公爵家執事、マロドスと申します。レイオルド・ソウ様でいらっしゃいますか?」
「ああ、そうだが、なんでそんな偉い人が俺に?」

名字を言われたことに少し驚きながらも答える。

「わたくしは執事の身分ですので、理由は分かりかねますが、我が当主ラグエル様から直々にこちらを渡すようにと仰せつかりました。」

自称執事から受け取った紙を見てソウは言葉を失った。そこにはフィエルテ魔法・騎士学校の推薦状があったのだ。そして、その裏に一枚の紙が入っていた。メッセージのようだ。
流石に貴族は紙の使い方が違うなと思いつつも内容に目を移した。
「会ったこともないのにこのような形ですまない。この推薦状は、公爵家のわしにとってはほとんど手間でもないから気にせず使ってくれ。まあ、そうはいっても少しは理由を知りたいだろうから、お前さんの父親への恩返しだ。ただし、この推薦状は試験を受ける権利だけで、平等に試験を突破しなければならないから自力で乗り越えることを願ってる。
ナハトファル公爵家当主 ナハトファル・ラグエル」

「なんだがよくわからないが、フィエルテ魔法騎士学校の試験をこれで受けられるんだな。ありがとう、当主のラグエルにも言っておいてくれ。」

「、、えっ、あ、はい。伝えておきます。フィエルテ魔法騎士学校の試験は難関と聞きますので頑張ってください。応援しています。」

執事は、ソウのラグエル様を呼び捨てにしたことで、一瞬思考が止まったが、その度すぐに返事を返した。しかし、なぜラグエル様があの少年にわざわざ招待状を渡したのかを帰り道の馬車で少し思考を巡らせていたが、屋敷についた頃にはそんなことは忘れていた。マドロス(執事)は、仕事はちゃんとやるが、普段は意外と適当でいたずら好きな性格だったりする。ソウに対する第一声が宗教の勧誘のような形だったのもマドロスのユーモアであった。

ソウは思わぬ形で推薦状を手にしたことによりハイテンションで、カイザーから紹介された宿に向かった。

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