タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜

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57.再潜入








 あれから一晩が経ち、僕達は朝から準備をしていた。




 「優!体調どうだ?怪我は治ったのか?」




 「この通り絶好調っすよ。」




 「みんな元気だねー。」




 加藤さんが歯磨きしながら言う。




 「やっぱご飯が良かったっす!あの2人のお手製の味噌汁飲めば元気満タンっすよ!」




 「なるほどね〜」




 「太一さんはどうっすか?」




 僕は小さく深呼吸して答える。




 「ああ。覚悟はできた。行こう。」




 僕は優と加藤さんを連れてギャンブル会場に向かった。





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 「113193。」




 優がそう言うと会場の扉が開いた。が、会場内には昨日のような盛り上がりはなく、やけに閑散としていた。





 「なんか少ないねー。まあチラホラはいるけど。ってか、ここに来るのもう3日目なんだけどー。」




 「まあ、これが現実ですよね。それで、どうするんですか?」
 



 「んー、それなんですよねー。さすがに昨日と同じ手は使えないし、使ったとしても昨日のおっさんがいるかどうか。」




 昨日のおっさんとは汚い服の男のことだ。昨日の時点で別の場所にワープしてしまっているので、今日もここにいる確信はない。




 「でも、ここに来れば何か手掛かりがあるはずだろう。」




 そう言って僕達はギャンブル会場をウロウロしていた。しかし、手掛かりになるような情報はない。




 昨日の裏口を見た所、完全に封鎖されており、警備員も撤去されていた。




 「まずいっすね。なるべく早く救い出したい所なんっすけど...あれ?」




 優が目を凝らす。




 「アイツ見覚えあるんっすけど。あれ、ちょっと思い出しますね。」




 そうして目を閉じて腕組みをする。そして記憶を呼び起こした。



 
 「そうだ!あの人六郎太さんだ!」




 六郎太さん。それは以前に探偵局に依頼をしてくれた人だ。いろいろあって、優が1人で解決したのだ。




 「六郎太さーん!お久しぶりっす!!」




 優が元気に近づく。六郎太さんはそれに気づいたが目を逸らす。




 (ああ、そうか人見知りだったかー)




 とそこに1人の女性が近づいてくる。




 「あら?あなた確か、優太郎さんじゃない。」




 振り返るとその人は六郎太さんの奥さんの凛々さんだった。




 「凛々さん!お久しぶりです。」




 「お久しぶりですー。あの時はありがとうございました。」




 「いえいえ、凛々さんがギャンブルなんて意外ですね。」




 「ええ。ギャンブルなんて全然やらないんだけど、今日はね。ほら、昨日の事件があったから。」




 「昨日の事件?」




 「知らないんですか?ここで殺人事件があったって。」




 優は加藤さんを見た。




 「殺人事件ですか?」




 僕は知らないふりをして訊いた。

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