タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜

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55.食卓









 事務所にとりあえず帰った。そこには桔梗と蝶野さんがいた。





 「あ、皆さんおかえりなさい!」





 「遅いじゃない。!?てかそいつどうしたの!?ぐったりじゃない。服汚れてるし。」
 



 「まあ色々ありまして。」




 僕はそう言うと今日の経緯を話した。優はソファに横にして、加藤さんはその横に腰掛けてからすぐ寝てしまった。




 「なるほど〜。それで無敵さんがいないんですね。」




 「明日探しに行きます!」

 
 

 「そうですか...。心配ですね、皆さんには自殺対策サークルでお世話になったので何かお役に立てればいいのですが...」




 
 「いえ、さすがに女性に来てもらうわけには行きませんよ。」




 「ですが...」




 蝶野さんと話している最中に、桔梗がテーブルに味噌汁を置く。




 「ん!!」




 「これ、味噌汁ですか?」




 「見たらわかるでしょ。」
 




 桔梗はそう言うと事務所の隅に置いてある鍋を指差した。




 「蝶野さん、これって..?」




 「今日、桔梗ちゃんと一緒に料理してたんです。そしたら作りすぎてしまって。なので、おすそわけです。あ、お味噌汁以外もあるので!すみません!!」





 最後何故謝ったのかはわからないが、どうやらご飯を作ってくれていたようだ。





 「...助かります!!桔梗もありがとな。」




 「別にあんたの為に作った訳じゃないから!余っただけだからね!勘違いしないでよ!!」




 その時、加藤さんがムクっと起きた。




 「んー、なんかいい匂いがするー!」





 「あ、加藤さん。おはようございます。」





 「おはようございますー。ってか、味噌汁じゃん。この街ではもう食べれないと思ってた!」





 「作りすぎたのでおすそわけです。どうぞ食べてください。」




 「わーい!」

 


 加藤さんは小さく喜んで隣の優をビンタした。




 「痛っ。」




 「若草さーん!食事の時間ですよ!!」




 「ん?食事?」




 優が目を開ける。




 「あれ?ここ事務所っすか?てかイテテテテ。」

 



 「優!ご飯の時間だって!」





 「ご飯?てか、蝶野さん!き、桔梗ちゃーん!!」




 「はいはい。いいから手洗って。」
 



 「あ、はい。」




 こうして僕達は食卓を囲んだ。今日の疲れはどこかに吹き飛んでしまったようだ。僕達は明日の英気を養い、その終盤に差し掛かった時僕は加藤さんに相談した。




 「加藤さん、明日は今日と同じような感じで潜入するんですか?」





 「んー、そのつもり。」




 「あの、何か僕にできることないですか?その、今日みたいなことにはなりたくないんで。」




 「...そうだね。」




 優は食後すぐにまたソファに横になり、眠りについた。僕と加藤さんはそれぞれ思い思いの場所で睡眠をとった。

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