タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜
50.警報
「全員無事っすね。」
優のおかげで僕達は赤外線を潜り抜け、安堵していた。
「よし、じゃあ行こっかー!」
加藤さんを先導に先に進もうと次の扉に手をかける。と、その時
「一、十、百、...300万benだな。」
扉の向こうから声がした。加藤さんは咄嗟に扉を閉め屈む。
「!?どうしたんですか?加藤さん。」
「声がする。隠れて。」
「え!?」
「いいから、早く!」
僕達も屈んで耳を澄ませる。加藤さんは扉の向こうの人に気づかれないようにゆっくり少しだけ扉を開けた。声がその隙間から漏れてくる。
「いい資金集めになってますねぇ。ふっふっふっ。」
「まだ序の口だ。この報酬はこれからも増えるぞ。」
「ええ、ありがとうございます。ふっふっふっ。」
どうやら2人の男が話をしているようだ。話の内容から察するにこのギャンブル会場の経営者か。
「ところで..、昨日の女はどうなさったのですか?」
「ああ、そんなのもいたな。後日元締様に報告し、必要なければ始末する。」
「昨日の女」。これは間違いなく杏のことだろう。そして「元締様」。やはり、このギャンブル会場は例の組織が関わっているそうだ。
「加藤さん、どうします?」
僕は小声で問いかけた。加藤さんは腕を組み何かを考えている。
「もうちょっと待っていましょう。彼らが隙を作るまで。」
「そうですね。そうしましょ...」
僕が同意したその時フロア中に警報が鳴り響いた。
「ヴー、ヴー」
警報は大音量で響き渡り、鼓膜が破れそうな程だった。
「まずい!そんなトラップもあったのか!」
どうやら僕達がいるこのフロアに一定時間以上留まっていると警報が鳴る仕掛けのようだ。
「とりあえず逃げましょう!!」
僕達は逃げようと立ち上がる。が、時既に遅し、僕達が入ってきたキーボード付きの扉は閉まってしまった。
「誰だ!?てめえら!」
僅かに開けていた扉の隙間から先程の男の声が聞こえる。しまった!バレてしまった。
「ドカアアアアアン!!」
その刹那、その扉が思い切り吹き飛んだ。僕達は咄嗟に状況を理解し、身構えて男達と対峙する。
そこに現れたのはスーツの男と汚い服を着たおじさんだった。
「あ!?ちょっと待ってください!」
「!?」
優がいきなり声を上げる。
「あんた、どっかで...。あ、あの時のキャッチじゃないっすか!!」
スーツの男に優は見覚えがあるようだった。
「はい?キャッチ?」
「繁華街で俺に声を掛けてきた奴だ!確かそう、ストロベリージャム!!」
「ああ、ストロベリージャムですか。懐かしいですね。あなたは店前でウロウロしていた童貞さんかあ!」
「....。」
「...優?」
それを聞いて優は少し黙る。そして静かに怒りを放出する。
「誰が、誰が、誰が童貞じゃー!!ゴラァァァ!!!」
それを聞いて加藤さんが笑い出す。
「ハハハハ!!さて、どうやらバトルタイムみたいですね。」
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