タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜

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45.ギャンブル

    





 おじいさんの死から1ヶ月間、僕達は小さな依頼をこなしながら過ごしていた。どうやら自殺対策サークルは異京の中でも有名だったらしく、あの一件以来当探偵事務所の知名度はじわじわ上がっていった。
 桔梗はあれから蝶野さんと一緒に暮らして、いつも通りの桔梗に戻っていった。僕達はたまにふたりの家にお邪魔しながら事務所で寝泊まりしながら過ごしていた。




 そんなある日、僕と無敵さが事務所で寛いでいた時散歩から帰って来た優が案件を持ってきた。




 「太一さん、無敵さん、ギャンブルしませんか?」




 「は?ギャンブル?」




 僕と無敵さんは顔を見合わせる。




 「ギャンブルっていきなりなんじゃ?」




 「いや、それが散歩してたら聞いちゃったんすよ。最近この街でギャンブルが流行ってるって。」





 「ギャンブルが流行ってるってなんか新しいな。普通昔からあるもんだろ。」
 



 
 「ね?気になるでしょ?行きましょーよ!」





 「優、なんかテンション上がってるけどギャンブルやってたのか?」





 「当たり前じゃないっすか!めちゃくちゃパチンコ打ってましたよ。この街に来てからなんかうだつが上がらないと思ったらストレス発散がなかったっすわ。」





 「へえ、そうなんだ。僕はそんなに経験ないなあ。無敵さんはどうですか?」
 




 「ワシはパスじゃ。ギャンブルのセンスはなくてのう。難しいルールとかも分からんし。」





 「だそうだ。悪いが今回は優1人で行ってくれ。」





 「お二人さん、そんなんでいいんですか!」





 優の口調が急に荒くなる。





 「どうしたんだ急に。」





 「今の俺には瞬間記憶能力があるんですよ!こんなん、ギャンブルにおいてチートだと思いませんか?」




 
 「ま、まあ確かに言われれば。」





 「しかもギャンブルってアングラなイメージじゃないっすか。そうなるとアーテリーとかヴェインとか絡んでるかもしれないですし。」





 「お前、そう言ってギャンブルに連れて行きたいだけじゃろ。」






 「まあまあ。無敵さんもたまには息抜きしないと身体もたないっすよ。」





 僕達は暫く考えて、そして結論を出した。





 「はあ、わかったよ。試しに行ってみよう。だけど、一回だけだぞ。」





 「ちょっと待て。ワシも行くんか?」




 「無敵さんも行きましょーよ!ハマりますよ、きっと。」




 「まあ、優の言う通り息抜きですから。潜入の意味も込めて行きましょ。」





 「....わかったわかった。今回だけじゃぞ。」
 




 恐らく前の哀瑠の一件でアーテリーには敏感になっているのだろう。無敵さんは快諾、とまではいかないものの一緒に行くこととなった。

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