タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜
41.違和感
僕達はタクシーで事務所に向かった後、桔梗の家に行った。桔梗の家には蝶野さんが料理を作って待っていてくれていた。
「蝶野さん!!戻ってきました!」
優が元気よく帰宅を告げる。
「あ、おかえりなさい。料理できてますよ。」
見るとリビングのテーブルには所狭しと料理が並んでいる。
「すごい...蝶野さん、料理上手いんですね!」
「一応毎日料理してたんで。。あ、一応辛くないように味付けしてますので。」
「ありがとうございます!」
「よおーし、飯じゃ、飯じゃ。ほれ、食うぞ。」
僕達は一足お先に食事をする。思えばこうやってみんなで食卓を囲むのは久しぶりかもしれない。たとえ全員が罪人だとしても、たとえ世界は悪にまみれていても、この時間は何にも変え難い時間だった。
「そういえば優、葵ちゃんに聞いたんだろ?アーテリーとヴェインのこと。」
「ああ、聞いたっすよ。なんか世間では都市伝説みたいに語られてるらしくて、名前は聞いたことあるって人割と多いみたいっす。」
「詳しいことはわからないのか。」
「まあ、なんともですね。一応都市伝説としては人に悪いことするとアーテリーに襲われるとか、なんかナマハゲみたいな感じっすかね。」
「そうか。」
「あ、あの、ひとつ質問なんですが、
」
蝶野さんが口を挟む。
「はい、なんでしょう!!」
「そ、その、囚人には基本的に看守が必ず1人付くんでしょうか?私と無敵さんには看守がいないのには何か意味があるんでしょうか?」
「葵に訊くと、囚人には必ず1人看守が付くみたいっす。だから、何故2人には看守がいないのか、謎ですね。」
「はあ...そうなんですね。」
「...ご馳走さん。」
無敵さんがそう言って立ち上がり、寝室に向かう。
「無敵さん早いっすね。」
「なんか最近疲れててのう。悪いがちょっと休ませてくれ。休んだらすぐ見回りに出る。」
「わかりました。」
そう言って僕達は食事を済ませた。僕は残っている業務のため事務所に戻り、優はいつものように散歩に出かけた。蝶野さんは食器の片付けをする為家に残った。
□□□□□□□□□□□□□□
「お邪魔しまーす。」
夕方になり、優は桔梗に会う為散歩から家に帰ってきた。玄関で靴を脱ぎ中に入る。
「あれ。」
優は一瞬で家に違和感があるのを感じた。それはなんとなくではなく、確信に近いものだった。それはテーブルの位置だったり、家具の様子だったり。食事をしていた時に記憶したものとは明らかに違う。
「あれ、蝶野さん?桔梗ちゃん?」
時間的にはとっくに桔梗が帰宅している頃だ。しかし、呼びかけには何の反応もない。優は恐る恐る奥に入って行った。
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