タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜
37.プログラミング
「なーるほど、探偵さんだったんですねー。」
僕達はある程度食事を終え、談笑しながら自己紹介をした。加藤さんはそれを静かに聴いてくれた。
「で、ここに来たのも依頼者からの依頼ってことかー。」
「は、はい。依頼は私が....。まさかこんなことになるとは、ホントにすみません!!」
後ろで一部始終を聞いていた蝶野さんが謝り出した。
「いや、蝶野さんは悪くないっす。貴女のおかげで多くのことを知ることができた。」
優がそんなことを言っている間に僕はふと尋ねたかったことを思い出した。
「あ、そういえば蝶野さんって救世主様に気に入らてたんですよね!?なんでなんでしょうか?」
「え、あ、はい、な、なんででしょう...?」
蝶野さんは気まずそうに笑う。杏がそれを見て口を挟む。
「恐らく、あなたの異能力に惹かれるものがあったのでしょう。救世主とやらもヴェインの一端なのですから。」
「というか、蝶野さんの異能力って何なんっすか?」
「いや、実は自分でもよくわかっていなくて...。すみません!本当に!!」
蝶野さんがまた謝り始めたので話題を変える。
「そういえば他のサークルの人達は?」
「ああ、そうっすよ。なんかグルって話だったじゃないっすか。」
「あ、そいつらも捕獲してあるよー。」
その疑問には加藤さんが答えた。
「手足を動かせなくしてるから。吐かせることは吐かせて自由にしてあげるつもり。」
「そ、そうか。他のメンバーもヴェインの一員なのかな。」
「んー、それはなんとも。まだわかんない。」
すると、それまで欠伸をしながら聞いていた無敵さんが口を開いた。
「というか、その動きを止めるってなんなんじゃ。異能力か!?」
「そうに決まってるじゃないですかー。」
加藤さんがあしらう様に答えたので無敵さんが少しムスッとする。そして杏が前に出て話の続きをし始めた。
「加藤様はプログラミング能力を持っているのです。それはつまり、相手の脳に侵入し新たな処理情報施設を構築することができるということなのです。」
「は?なんじゃそれは?」
「簡単に言うとその人の脳を支配できるってことー。だから動きを止めたり、五感を奪ったりもできるよ。やろうと思えばだけど。」
「え、それって割とチートな能力なんじゃ...。」
「加藤様はプログラミングさえできたら無敵なのです。」
杏がドヤ顔で言う。
「そのプログラミングって何じゃ?」
「あー、それはねー、」
「加藤様のプログラミングは実に単純明快です。プログラミングの条件は一つ、『加藤様を知ってもらう』だけです。」
「加藤様を知ってもらう?」
「はい。加藤様について知ってもらえれば知ってもらえるほどプログラミングは容易くなります。」
「そういうことー。だから言っちゃえば自分の名前を知るとか、顔をみてもらうとかでもプログラミングできるけど完全なプログラミングには時間かかるんだよね。より自分のこと知ってもらえればもらえる程プログラミングの時間は短くなる。」
「ってことは俺らはもうプログラミング済みってことっすか...。マジでチートじゃん。」
「なるほど、杏が加藤さんについて話せば話す程プログラミングは速いスピードで構築されていくのか。まんまと嵌められた。」
「おい、ワシらをプログラミングしてどうするつもりじゃ!?」
「ああ、それは...、」
加藤さんがニヤリと笑った。
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