タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜
27.潜入
そして次の日。僕達3人は早速実際にサークル本部へと潜入した。今回の任務は何があるか、全く予想がつかないので無敵さんも連れて。一応探偵とかバレないように一般市民の変装をして。
「ああ、ここっすわ。」
例の如く住所と地図を覚えた優に案内されて行く。そこは街中にある普通の建物だった。
「なんじゃい。普通の家じゃないか。本当にここで会っとるんかワレ!」
「ぐえっ!む、胸倉掴まないでください!俺の記憶に間違いはないっすよ!それにその喋り方、怪しまれるんで控えてください!」
何故か揉めている2人を他所に恐る恐る中を覗いてみる。と、その時男に声を掛けられた。
「ようこそ。」
低い声が心地良い、紳士の声だ。僕は振り向くと気品の高そうなおじさんがこちらを見てニコニコ笑っている。普通の笑顔なのだがどこか不気味さを漂わせていた。
「あ、あの、僕達自殺対策サークル...?に入りたくて来たんですが...」
僕がそう言うとその男性は急に憐みの表情を浮かべた。
「おやまあ、それは可哀想に。どうぞどうぞ、中にお入りください。」
「はあ、ありがとうございます。あ、そこの2人も一緒です。」
僕は揉めてる2人と共に男の後ろをついて行った。
「それではまずは受付を済ませてください。」
「受付?」
「はい、こちら真っ直ぐ行って頂きますと受付がございますのでそちらお済ませください。」
「はあ。」
僕達は言われた通り真っ直ぐ歩く。ここまでは何の変哲もない、普通のサークルのようだ。まあ、『自殺対策サークル』という名前が既に胡散臭いのだが。
「なんか普通っすね。」
「まあ今の所はな。まだどんな所かわかんねえしな。」
「ま、ワシにしてみれば何が起きても問題無しじゃがのう。ハハハ!」
談笑しながら進む。すると受付に着いた。受付は長机とパイプ椅子に座っている男がいるのみで、思ったより質素で面を食らった。
「あ、あの自殺対策サークルの受付ってこちらですか?」
「ん?ああ、そうです。それではここに諸々記入してくださーい。」
受付の男は気怠そうな、根暗なオーラを纏っている。とにかく愛想が悪い。受付には相応しくない人選だと思う。まあそれを言っても仕方ないので大人しく言われた通り記入する。
記入事項は名前や年齢は勿論、趣味や経歴など結構な個人情報まで至っていた。そしてサークル加入の動機、どうして自殺しようと思ったかの欄もある。根掘り葉掘り色々なことを訊かれる。
□□□□□□□□□□□□□□
「はい、ご記入ありがとうございます。それでは右手出してくださーい。」
「右手?」
「はい、右手出してくださーい。」
僕達は右手を出した。すると受付の男は一人一人の右手首の部分にスタンプを押した。
「あのー、このスタンプはなんですか?」
「...当サークルの構成員の証明です。」
男がかなり不機嫌そうに言うので僕達はそれ以降何も訊けなかった。僕達は受付に言われるがままサークル本部に案内された。
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