タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜

cookie

26.第三の依頼







 「この前は大活躍みたいだったわね。ありがと♡」





 「は、はい!!」




 僕と優は白樺屋に来ていた。六郎太さんから依頼料を貰ったので買い出しだ。この前のようなことがないよう多めに買っておこう。




 「あなた達のこれからの活躍に期待してるわ。ふふふ。」




 店員さんはそう言ってお会計を済ませた。僕達は大きく膨らんだ買い物袋を抱えて店の外に出て歩く。





 「白樺屋のあの店員さんいっつもいるよな。」





 「麻里亜さんっすよ。」






 優はいつの間にか店員さんの名前を知っていた。




 「ああ、そうなんだ。」




 「はあぁ、麻里亜さん。彼氏とかいるんすかね?あれくらいのお姉さんに手解き受けたいっすわ〜。」




 「お前、性犯罪者の顔が出てるぞ。」




 「ふふふ〜。」




 そんな会話をしている間に事務所に着いた。中に入ると桔梗がいた。




 「あら、おかえりー。」




 「あ、桔梗ちゃーーーーーん!!!」




 「シュ。」
 



 桔梗が視界に入った途端優が飛びつく。桔梗はそれを颯爽と躱した。さっきまで白樺屋の店員の話をしてたのに現金な奴だ。




 「桔梗!なんでそんな当たり前の様な感じでいるんだよ。」




 「定期見回り。いつものことでしょ。あとそれ。」





 桔梗が事務所の隅を指差す。見ると大きな紙袋が3つあった。




 
 「おじいさんからの差し入れよ。みんなで食べれるようにって辛い物は入ってないわ。」




 「おっ。マジか!それは助かる!!」



 
 さっき白樺屋で買った物も含めれば当分生活には困らなそうだ。




 「おじいさん元気か?」




 「ん?元気よ。相変わらず。」




 「そうか。あんま戻れなくてごめんな。」




 「はぁ?戻ってこなくていいわよ。別に、寂しくなんかないし。」
 



 「そうかそうか。おじいさんによろしく言っといてくれ。」
 



 「はいはい。じゃ、そんだけ。ほんじゃ、私はこれで〜!」





 桔梗は帰っていった。




 「はあ〜、桔梗ちゃん。いつ見ても可愛いなあ。手解き受けたいって感じ。」





 「お前さっきも同じようなこと言ってたぞ。」





 「太一さん、羨ましいっすよ!あんな優しい子が看守なんて。」





 「優しい....?」




 「はあぁ、俺の看守もあんな可愛い子だったらなあ。」





 「葵ちゃんも可愛いだろ。」





 「まあ、可愛いっすけど、なんか物足りないっす。」





 「お前、最低だな。」




 「ぐへへ。」




 と、その時事務所の扉を叩く音がした。




 「郵便でーす。」




 何か郵便が来た。優が受け取る。それは手紙が入った封筒だった。差出人は不明。




 「何っすかね。この封筒。」




 中を見て僕達は驚愕した。






□□□□□□□□□□□□□□□







 「ふああぁぁ。お疲れー。ん?何じゃ、お前達。」





 日が暮れて無敵さんが見回りから帰って来た。僕と優は事務所で真剣な顔で沈黙していた。




 「無敵さん、依頼です。」




 「おお、依頼か。腕がなるのう。...どうした、元気なさそうだが...。」




 「無敵さん、今回の依頼は難易度高いかもしれないです。」
 



 「ん?どういうことじゃい。」




 僕は無敵さんに封筒に入っていた手紙を見せた。
 その手紙は告発文だった。ドラマとかでよく出てくる、新聞の切り抜きを貼って文章が作られていた。内容はこうだ。




 「自殺対策サークルをぶっこわせ。
  インチキ詐欺サークルだ。」




 その手紙の下にサークルの活動場所なのだろうか、住所が書いてある。それ以外の具体的な情報は何もわからない。しかし、律儀に依頼料を同封してある。




 「自殺対策サークル?何じゃ、それは。」




 「わかりません。情報が全くない。行くしかないかもしれません。潜入捜査に。」



 

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く