タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜
22.店内
「よろしくお願いしますっ。凛々華です!」
ターゲットの女はそう言うと自分のドリンクを作り始めた。胸元ザックリのセクシー衣装で優の隣に着く。優は緊張しながら、相手の素性を探る。
「お名前なんて言うんですか〜?」
「あ、優...じゃなくて優太郎です。」
一応偽名を使う。
「優太郎さんですね、乾杯しましょ♡かんぱ〜い!!」
グラスを傾けて乾杯する。時間は限られている。優は急ぎながら、尚且つ怪しまれない様に会話の主導権を握っていく。
「凛々華さんお綺麗ですよね、凄くモテるんじゃないですか?」
「えー、いや、そんなことないですよー!」
「いや、ホントホント。彼氏とかいるんですか?」
「彼氏」という言葉から旦那との関係性を聞き出す。悪くない作戦だ。
「いやー、いないですよー!」
....。そりゃ、夜の世界で働く女性は本音を言わないか。パターンを変えてみよう。優はアイスティーを飲み干した。凛々華がドリンクを作る。
「凛々華さんどうしてここで働いてるんですか?」
「えー、それは、、優太郎さんに会うため♡」
凛々華と名乗る女はかなり手強かった。肝心な質問には腹を割らない。しかし、かなり会話が手慣れているので、長くこの仕事をしているのがわかる。結局情報を巧く聞き出せないまま黒服が来た。
「お客様そろそろ女の子交代のお時間ですが、いかがなさいますか?」
「え!?」
「もし凛々華さんがお気に召したようでしたら場内と言って、最後まで凛々華さんを着けること可能ですが...」
「え、ああ、そう、、じゃあ...場内で。」
「ありがとうございます。」
そう言って黒服は去って行った。最後まで探ってやる。優はあの手この手で会話を広げた。しかし、凛々華は重要な情報はスルーを決め込み結局時間になってしまった。
「場内ありがとうー!楽しかった!」
凛々華はわかりやすい作り笑いを浮かべる。優は楽しかったような、しんどかったような、よくわからない気持ちで疲れ切っていた。
「お客様、お会計です。」
黒服が伝票を持って来た。その金額を見た時、優は絶句した。「25万ben」
当初聞いていた1万benの25倍。
「い、いやちょっと待ってください。高くないっすか、1万benって聞いてたんですが。」
「あ、お客様ドリンク飲まれましたよね?それが一杯6万benですので4杯で24万ben。それに1万ben足してトータル25万benです。」
やられた。ぼったくりだ。キャッチの顔が鮮明に記憶に蘇る。あの野郎。優はそのまま店の裏に呼び出された。
「終わった...」 
優が心の中で呟く。もう何もかもおしまいだ。チーフを呼んでくるから待ってろと言われた。優は震えながらパイプ椅子に座ってじっとしていた。
...30分後。チーフが店裏にやって来た。とにかく顔面が怖い。圧倒的な威圧感で優に詰め寄って来た。
「あんちゃんかい、女と楽しんだ上に金も払わん奴は。」
優は震え上がる。この威圧感どこかで感じたことがある。しかし、優には何もできなかった。
「払えんのなら、死んで詫びんかい。」
チーフは銃を取り出し、優のこめかみに突き付ける。銃!?ヤバい、殺される!!優は一世一代の大ピンチに陥っていた。
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