タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜
18.第二の依頼
「よーい、スタート!!」
事務所の中で優と無敵さんが睨み合う。と、その瞬間無敵さんの拳に力が入る。瞬きする間に勝負はついてしまった。
「うわぁぁぁん!無敵さん強すぎっすよー!マジ無敵すぎるぅぅぅ!!そこに痺れる憧れるぅぅぅぅぅ!!」
相当暇なのだろうか、2人でずっと腕相撲している。あれからまた1週間、僕達はニートのような生活をしていた。無敵さんが加わってくれたことでかなり戦力が厚くなったと思うのだが、肝心の仕事依頼が来ない。それでも看守の人達のサポートもあり生活には困らないのだが。こんなんで出所できるのだろうか、そう不安がよぎった時2人の戦いは終わった。
「はあぁぁぁ、一旦休戦っす。出かけてきまーす。」
「おい、どこ行くんじゃ。」
「白樺屋っすよ。腹減ったんで。」
「お前、最近そればっかりじゃのう。」
「仕方ないでしょう。ここの街の食い物は辛すぎて食えないっすよ。逆に無敵さんは大丈夫なんっすか、その辺。」
「ワシは気にならんがのう。むしろ辛くて美味いって感じじゃ。ハハハ!!」
「ホント、みんな変わり者っすよね。それじゃ、行ってきまーす。」
そう言って優が玄関を出る。優は今だにこっち側の食べ物は口に合わないらしく、毎日白樺屋に行っている。もっとも、店員さん目当てで通い詰めている可能性もあるが。無敵さんと2人きりになった所で気になっていたことを訊いてみた。
「無敵さん、そういえばあの時の黒コートの男って知り合いなんですか?」
「ん?ああ、あのよくわからん奴か。あんな奴は知らん。初めて会った。」
「そうなんですか...」
森での一件依頼ずっと心の中に引っかかっていた。あの時の明らかな悪役登場感は戸惑ったなあ。そして何よりそいつに顔を知られてしまったのが恐ろしい。
そう考えていた時無敵さんが口を開く。
「ところでワシも尋ねたいんじゃが。」
「!?なんですか?」
「さっきの茶髪は記憶力がいいんじゃろ?ほら、あの、異能力ってやつ。ほいで、君の異能力はなんじゃ?いや、一応仲間なんだし、知ってた方がいいじゃろ。」
「ああ、いや実は僕もまだわかってなくて。なるべく早く見つけ出したいと思ってるんですけど。」
「ふん...。そうか。まあその内わかるじゃろ。それじゃ、ワシは見回りじゃ。」
無敵さんはそう言って出かけてしまった。無敵さんは「見回り」と称してよく外出する。出来るだけ多く人助けする為なのだそうだ。...まあ、なんか探偵と警察を勘違いしている感はあるが。それにしても、異能力かぁ。僕はどんな力で人の役に立てるんだろう。窓から見える空を見ながらそんな事を考えていた。
□□□□□□□□□□□□□
夕方になって叩いて起こされた。どうやらそのまま眠ってしまったみたいだ。目を開けると優がいた。
「ああ、優か。もう帰ったんだな。あれ、今何時?」
「太一さん!そんなことより!!依頼持ってきましたよ!!」
「え!?依頼?」
「白樺屋のお姉ちゃんからっす。」
「え!?白樺屋のお姉ちゃん?」
そう言って起き上がったら知らない男がいた。小太りの体にスーツを着ている。30代くらいのビジネスマンっぽい。
「こんにちは。」
挨拶された。挨拶されたのでこちらも挨拶を返す。
「こんにちは。」
「太一さん、起きてください。大事な依頼ですよ!」
「依頼...?あれ、この人は?」
「この人は依頼人ってやつです!」
「あ、依頼人の人か...。依頼人!?」
その言葉を聞いて背筋が伸びた。久々の仕事の依頼が事務所に飛び込んできていた。
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