タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜

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17.仲間





 「ちわーす。あんた達大丈夫ー?ってか全然大丈夫そうじゃない。」




 
 次の日の昼頃に桔梗がやって来た。どうやら葵から連絡を貰って様子を見に来たらしい。しかし、その頃には全員ぐっすり休めていて、体力も十分に回復した頃だった。




 「き、桔梗ちゃぁぁぁん!!!ありがとうぉぉぉ!!!会いに来てくれたんだね!!俺は元気だよぉぉぉぉぉぉ!!!」




 「あんた、うっさい。」




 優も一晩寝て昨日までのテンションが嘘のように元気を取り戻していた。久しぶりに桔梗に会って、その元気が更に一段階高まったような気がする。桔梗はそれを一蹴して僕達に言う。





 「そういえば囚人番号5番もいるんだって!?」




 「5番...。ああ、無敵さんのことか。」




 「ワシがなんじゃい。」



 
 寝室から無敵さんがやってきた。かれこれ12時間以上寝ていただろうか。多少の傷はまだ残っているものの元気をしっかり取り戻したようだ。





 「あ、あんたが5番ね。あんた、看守は?」




 「ん?なんじゃ、看守って。」




 「看守は看守よ。もしかして、あんた会ってないの?」




 「会ってないも何も、ワシは異京に来てから1人で闘ってきたぞ。何じゃ看守って。ワシはそんなもんしらん。」




 桔梗が露骨に引いている。すかさず僕が無敵さんに質問する。




 「ちょっと待ってください。それじゃ今までどうやって暮らしてたんですか?」




 「安全な場所を見つけて野宿じゃ。魚釣ったり熊倒したりして食糧は調達しとったわい。」




 「え...これからどうするんですか?」

 


 「ん?もう出る。」




 無敵さんはそう言うと玄関で靴紐を結び始めた。



 
 「ちょ、ちょっと待ってください!それなら事務所に来ませんか?」




 「悪いが、誰かの世話になる訳にはいかん。この刑務所生活はワシ自身への戒めじゃ。」




 「いえ、世話になる訳じゃありませんよ。」




 「ん?」




 「探偵事務所は人の役に立つための所です。そこにあなたがいれば出所に近づく可能性が高くなる。あなたが人の世話をするんです!」




 僕は真剣に言った。無敵さんは驚いたような顔をして、その後急に笑い出した。




 「ハハハハ!いいじゃろう、それなら世話になるわ。よろしくのう。」




 結んだ靴紐を緩めてリビングに戻ってくる。僕に手を差し出してきた。大きくて分厚い手だ。僕はその手を掴んで握手した。




 「ちょっと、俺もいるんすからね~!忘れないでくださいよー!!」




 優が飛びついてくる。桔梗は呆れながら僕達の様子を眺めていた。その時葵が寝起きの顔で後ろの扉からやって来た。





 
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 「参りました。」




 男が長髪を揺らして言う。羽織った黒いコートが鈍く光る。彼の前に座る人物は暗闇に反射し、顔がはっきり見えない。彼はその人物のことを元締様と呼んだ。





 「元締様、先日からの龍による村人襲撃の件ですが、囚人番号5番により、その、頓挫してしまいました。」





 コートの男がひざまづく。元締様は鋭い目を男に向ける。紅い目が痛いくらいに刺してくる。




 「ほう...。5番、まだ生きておったのか。まあいい、別の計画は既に動いている。一つ道がなくなった所で狼狽る必要はない。」




 「・・・・。」




 「それより、お前もゆっくり休んだらどうだ。そのコートは暑いだろう。脱いで涼め。駒となって動いてもらうにはそれなりの休息をとってもらわんとな。」




 「はっ。」




 男がコートを脱いでYシャツ姿になった。その胸元には数字が書いている。
「121」とーーーー。

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