タヒチ探偵局〜罪人どもの異空間〜

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6.探偵



「人の役に立つって何なんすかね?」



 優が寝転んだ姿勢で天井を見ながら呟いた。確かに、人の役に立つってなかなか難しい。その為にはまず、困ってる人を探す必要があるからだ。



 「なんとか効率良く人の役に立つ方法ってないんすかね~。。はぁぁ...辛くないお刺身食べたいー。出所したいー。」




 そう言って優が寝返りをうつ。僕も出所してお刺身が食べたくなってきた。




 「でもいい方法なんか思いつかないよ、優。」



 
 「うーん、そうですよねー。あ!!」




 「ん、どうしたんだ?」




 優が何か思いついたように立ち上がった。



 「太一さん、探偵やりませんか?」



 「え?探偵?」



 「今捕まる前のこと考えてたんっすよ!何か人に助けられたなぁってこと思い出してて。そしたら、俺が盗撮とか痴漢とか疑われた時に探偵事務所に相談したこと思い出して。まあ結局捕まっちゃったんっすけど、でも人って悩んでる時誰かに話聞いてほしいもんなんっすよ!話聞くだけで人助けって言うか、それくらいなら俺らにもできるんじゃないっすか?」




 「うーん、でも探偵ってやったこともないし...」




 「太一さん、何事も行動っすよ!」



 確かに探偵を始めれば速攻で出所できるだろう。まあ、異能力というやつを見つければ案外簡単にできるかもしれない。人の話聞くのは苦痛じゃないし。出来たらそれと同時にこの家を出たい。それも一種の人助けになるかもしれないからだ。探偵事務所を設けてそこで始めるのがいいか。どこか事務所を借りれないか、明日おじいさんに相談しよう。この日はいつの間にか寝てしまった優の隣で一晩中考えていた。








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翌日目を覚ますと優は既に起きていた。




 「あ、太一さん、うっす!」




 「あれ、お前早くない?」




 「なんか目覚めちゃったんで。」




 「優、昨日僕一晩考えたんだけど、探偵事務所やろう。この家を出て事務所を構えるんだ。そうすればまず桔梗とおじいさんが助かる。それに人の困り事をどんどん解決していけばきっとすぐ出所できる。」
 



 僕は結構勇気を持って言った。捕まる前の僕だったら恐らく言えなかっただろう。それは優という目の前の人物を信じているから、そして初めて人の役に立つにはどうすればいいか真剣に考えたからだった。必ずすぐに出所して一からまた徳を積んでいくんだ。ここでの経験はその為のスタートダッシュだ。優は僕の顔を見て頷いた。




 「了解っす!そしたら俺らの探偵事務所の名前はタヒチ探偵局っすね!!」




 「え、タヒチ探偵局?」




 「太一さんの名前からとってタヒチっすよ!タヒチ島行ったことあります?俺一回行ったことあるんすけどめっちゃ綺麗なんすよ!なんか響きいいなってずっと思ってたんですよ~。」




 「まあ、いい島だよね。」




 「決定っすね。じゃあ早速始めましょー!」




 「まて、まずは事務所を借りたい。おじいさんなら何か借りる方法を知ってるかもしれない。相談してみよう。」





 僕と優は階段を降りた。リビングにはおじいさんが丁度座っていて何か事務作業をしている。桔梗はまだ寝てるみたいだ。



 「おじいさん、おはようございます。」




 「おぉ、おはよう。」



 僕達はおじいさんに貸し事務所がないか相談した。すると、おじいさんは多少驚いて言った。




 「ああ、それなら白樺屋さんのところに行くといい。」




 「白樺屋さん...ですか?」




 「ああ、白樺屋さんっていう、囚人さん達の為の何でも屋さんがあるんじゃ。人間界のものを輸入していたりする。確か不動産とかも紹介してくれるはずじゃ。行ってみるといい。」



 
 僕達はおじいさんに白樺屋までの道を聞き、早速行ってみることにした。




 




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