あの滑走路の向こう側へ

きさらぎ ねこ

第二章 九、姉弟同盟



夏休みに弟の歩崇ほたかが帰省してきた。
唯は歩崇を誘ってカフェにいた。

「二人で出かけるの、久しぶりだね」
「そうだね、昔は二人で住んでから、
 たまに出掛けてたよね」

唯は話を切り出した。
「歩崇、高峯賢太って人、知ってる?」
「おう、賢太、中高の同級生だよ。なんで?」

歩崇はかなり驚いた様子だった。

「実は、その、賢太君のお兄さんと付き合ってるの」
「え、マジで? 確か、医者目指してなかったかな」
「そう、今、大学病院で働いてる」

「いいの捕まえたねぇ」
歩崇は一瞬ニヤッとしたが、
すぐに真面目な顔に戻った。

「えー、でも姉ちゃん、大丈夫なの?
じぃちゃん、見合いさせる気満々しょ?」
「んー、だからさー、そん時は味方頼むよ」
「じぃちゃん怖いからなぁ」

「って言うか、アンタはどうなの?」
「俺? 研究職には進まないかな。
院に進んで実感したよ、天才には敵わない」

「おじいちゃま、どうすんの?」
「そん時は、味方頼むよ」

二人は困ったように笑った。



「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く