あの滑走路の向こう側へ

きさらぎ ねこ

第1章✈︎ 二、出会い


唯達3人が待ち合わせ場所に着くと、
清さんは酔っぱらった友達を数人連れていた。

一通り紹介を終えたあと清さんは言った。
「この中で地元に残ってるの、唯と紘太こうただけか」

端で気持ちよく酔っていた高峯紘太に
清さん達がいじるように言った。
「26なのに、こいつだけまだ学生。
 1浪1留、医学部の6年生なんだよ」
「そ、こいつ、もうすぐ国試」

「いや、1留は語弊がある、休学だからね」
訂正する紘太に唯は尋ねた。
「国家試験っていつなの?」
「2月だよ」
「え、来月じゃん!
 こんなとこで酔っ払ってていいの?」

「そうなんだけど、今日だけ許してやって!
 こいつ今日、誕生日なんだよ」
そう言うと、清さんは、
「じゃ、再会と新たな出会いと、紘太の誕生日に
 乾杯!」とビールのジョッキを掲げた。

ほろ酔い加減の紘太は唯に話しかけた。
「芹沢さんって良い名前だね」
「え、褒めるとこ、苗字?」
と笑う唯に紘太は続けた。

「良い名前だよー、芹沢!」
「それは、どうも…」
「俺ねー、芹沢鴨好きなんだよ」
「あー、えーと、幕末の…何した人でしたっけ」
「新撰組だよ!局長よ?」

ワイワイと地元での楽しい時間は過ぎ、
おひらきとなった時に清さんは
「唯、地元に残ってるの紘太だけだから、
 仲良くしてやってよ」
と、紘太の連絡先をメールで送った。




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