文才少女と陰キャの王子様

リュウト

新たな出会い

春風が吹く道で桜が舞う。
今日から荒一宮(こういちみや)
高校の2年生だ。
私の家から歩いて15分程度の場所、
そこから始まり校舎へと続く満開の桜は
この時期、美しく咲いている。
これから校門をくぐる新入生たちに未来への期待を抱かせるには,確かにうってつけの光景に違いない。
彼女も新しい出会いに胸を躍らせて歩いていた。
「ちょっと真菜遅いわよ ︎」
と、友達から声がかかる。目を向けた
先に,甘い甘いチョコレートのような茶髪の愛らしい、私より小柄な少女が待って
いた。
「ごめ〜ん天音」
今日から私たちはクラスが変わり新しい日々が始まる。彼女たちは新しいクラスへと少し緊急した足取りで行き、
座席につく。
「やったー,席前後だね」
「私も真菜と席が近くて嬉しいわ」
2人は微笑みながら言葉を交わした。
そして,真菜たち40人余りの前に、担任の先生となる人物が,姿を現した。
「ん,全員揃っているようですね。では始めましょう、私は化学を担当している安倍麻里奈といいます。これから1年間お願いします。」
年の頃にして20代後半、綺麗な面立ちの女性の先生だった。
「それではみなさん,自己紹介を出席番号順に1人ずつ前に出てお願いします。」
上品で丁寧な口調で言った。
そして1人の少女が恥ずかしそうに前に出て行く。
「愛宮真菜(えのみやまな)といいます,小説をよく読みます。これから仲良くしてくれると嬉しいです。」
頬を赤くしながら恥ずかしそうに言った。
次々に自己紹介が進んでいく。
「如月流星(きさらぎりゅうせい)と言います。ゲームをよくやります。これからよろしくお願いします。」
堂々とした態度で言い席に戻る。次の生徒が前に出ていく。
「月城明侖(つきしろあろん)です。絵を描くのが得意です。
これからどうぞよろしくお願いします。」
一部の女子から嬉しそうな声が上がる。
真菜たちにもその理由はわかった。
陰キャのグループであまり女子と喋らない無口な性格だが、イケメンでミステリアス感があり一部の女子から人気がある。
これが魔性の魅力というやつだ。
その後も自己紹介が続いて行き,
「美澄天音(みすみあまね)と言います。読書が趣味です。
気軽に話しかけてくれたら嬉しいです。」
最後の生徒がいい終えた後,みんな緊張感が解けたのかホッとした顔をしていた。
「それでは,2年生初めの授業は化学になります。と,いっても今日の授業は全部説明だけですから、」
授業の説明が終わり時計を見るとまだ時間が余っていた。
「時間も余りましたし少し雑談しましょうか。」
生徒たちとの距離を縮める意図もあってか,気さくな口調で話し始めた。
「私の子供の頃はよく討論して遊んでいました。例えばお子様ランチは幻の料理だという討論をしました。」
生徒たちがどういうことだろうという顔立ちで先生の話に耳を傾ける。
「お子様ランチは子供の頃食べていましたけど、今は年齢制限があって食べれないので幻の料理です,と」
なるほど,という生徒とは裏腹に1人の生徒が
「作ったりすればいいのではないですか?と」
1人の少年が言う。
「友達にも似たようなことを言われました。」
「キーンコンカーンコーン」
チャイムの音が鳴り響く。
「これで授業を終わります。」
このような感じで授業が進んでいき,ホームルームが終わると放課後の時間になった。
「真菜、今日、
図書館に行くの?」
「うん,コンテストの作品を考えないといけないから」
真菜はいつもコンテストがある時,図書館にいき小説を書いていた。いつものように学校からそのまま歩いて図書館に行くと、顔立ちの良い1人の少年,月城明侖が真剣な表情で紙に向かって作業をしていた。気になった彼女はそっと少年の後ろにいき、
「すごい綺麗な絵だね」と,
感心した様子で言うと,集中していたせいか,びくっとした後にこちらを振り向いて
「見たの?」
普段は見ない顔で,頬を赤らめて、恥ずかしそうに言った。
彼が描いていたのはラノベの、いわゆるそう言うシーンだ,年頃の男子なら見られたくないだろう
「見たけど、こういう絵を描くのが好きなんだ、ふーん」
少し意地悪い口調で言うと彼は,
「恥ずかしいから誰にも言わないで欲しい、なんでもするから」そういうと、彼女は何かを決心した様子で「私,小説書いてるんだけど、あなたが私の小説のイラストを描いて手伝うって言うならだまってても良いよ」
彼は少し考えてコクリと顎を動かして
「わかった」という。この日から彼と彼女の秘密の関係ができてしまった。
「じぁ、月城くん連絡先教えて」
「いいよ」とだけいい,
互いに連絡先を交換しあった。彼女は少し笑みを浮かべて
「これからよろしくね」というと彼は無口な表情から笑みを浮かべて
『こちらこそよろしく」
普段の彼からは想像出来ない顔のギャップに彼女は胸がドキッとした。
「あっ,えっと,明日の放課後からやるから、準備しといてね?」
「わかったけど、どんな作品を書くんだ?」
彼が質問すると彼女は少しためらって
「今から考えるんだ」
彼は飽きれた様子で、
「じぁ,連絡先も交換したことだし電話で話し合って決めるか?」
向こうからのその提案に少し驚いたが
「そうだね,その方がいいかもね」といい,日も落ちてきたので彼女たちは解散してそれぞれ自分の家に戻る。
彼女は男の子と電話するのは初めてなのでドキドキしながら家に帰り、イスに腰をかけて自分の携帯に手を伸ばす。
「なんだか緊張するなぁ」
一方で、彼は家に帰り荷物を置いた後、ひと段落してそのまま浴室の方へ足を運んだのだった。

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