現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第46話 反省会

 「では、始めましょうか」

訓練を終えた暮人は、サラと一緒に家のリビングへと戻っていた。
 訓練が早く終わったため、リーゼとビィナは当初の目的だった、街にお出かけをしに行った。
 家に残った暮人とサラは、さっき行っていた実戦練習の反省会を開いていた。

 「まずは…暮人様自身が実戦練習をしてみて感じたことはありませんか?」
 「そうだな…最初の割にはできていた気がするな。やりたいこともできたし」

 暮人は、今日の実戦練習に関しては満足していた。別に、最初からサラに勝てる気はしていなかった暮人は、自分が考えた戦術がどこまで通用するかを意識しながら実戦に挑んでいた。その戦術が、意外にも今日の実戦でいい感じに通用したことに満足していた。

 「そうですね。最初にしては、動きもすごくよかったと思います」

 サラの褒め言葉に、少し照れくさくなる暮人。しかし、そんな暮人を見ながら、サラは「しかし」と言葉を続けた。

「悪い点も多々ありました」

サラの真剣な言葉を聞き、さっきまで照れていた暮人は、一気に現実へと戻された。

「暮人様は、今回の敗因は何だったと思いますか?」
「そうだな…やっぱり、相手の魔法属性がわからなかったことだな」

サラは、暮人の訓練を見ているので得意魔法や属性なども完全に理解していた。しかし、暮人はというと、サラが魔法を使ったところを見たのは数回しかなく、どの属性魔法が使えるかが、全くと言っていいほど知らなかった。

「そうですね。ですが、今後このような状況で戦わなければいけないこともあると思います」
「確かに…それはそうだな」

「ですから!」と言ったサラは、いつも通りの明るい表情で暮人との距離を詰めた。
 
「明日は、その戦い方を教えますね」
「お、おう」

半ば勢いに押されながら、明日の訓練内容が決まった。

「最終目標は、打倒リーちゃんですね」
「ちょ、ちょっと待て。サラよりリーゼの方が強いのか?」
 「そうですね…大体私より5倍ぐらい強いですね」

 サラは、どこか遠くを見るようにそう言うと、呆れたようにため息をついた。

 「リーちゃんは強いですよ。それはもう、今の暮人様では歯が立たないほどには」

 苦笑いながらそう言ったサラを見た暮人は、はるかに遠い壁を知り、『今のままじゃだめだ』と思いながらも、どうすればいいか悩むのだった。

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