現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第44話 実戦(1)

 「では、始めましょうか」
 「そうだな…」

 向かい合った二人が戦闘態勢をとるかのように身構えた。
 その二人を少し離れたところでビィナを抱えたリーゼが見守っていた。最初は、昨日と同じようにビィナとお出かけをする予定だったリーゼだったが、二人のことが心配になり、見守ることにしたのだった。

 「ではリーちゃん、合図をお願いします」
 「え…っ!あ…うん、わかったわ」

 リーゼの「はじめ!」の合図と同時に、暮人は光の魔法『瞬光』を使い、サラの頭上へと一瞬で移動した。
 この世界の魔法は、魔法名に決まりがなく、暮人は『瞬光』だが、他では『瞬間移動』と唱えても、同じ魔法が発動される仕組みになっている。
 『瞬光』を使い先手を打とうとした暮人は、そのまま『水弾』を唱え、右手に水の塊を生成した。

 「そうはさせませんよっ!」

 両手を前に突き出したサラは『リーフバリア』と唱えた。すると、緑色の壁がサラの身を守るかのように現れた。
 サラは、しっかりと暮人の魔法の属性を把握し、相性の良い魔法で防御をとっていた。
 
 「どうですか?暮人様」
 「やるなサラ。…でも」

 暮人は、何もしていなかった左手を構え『空断』を唱える。すると、さっきまで『リーフバリア』の中にいたサラが、一瞬にして暮人の前へと引き出された。

 「……えっ 」

 これにはさすがのサラも驚きを隠せていなかった。
 暮人は、驚いているサラに構わず、右手の『水弾』を放とうとした。しかし、あと一歩のところでサラが『テレポート』を使い、暮人の『水弾』は空を切った。

 「さすがだな。あたると思ったのに」
 「暮人様こそさすがです!この短期間で、こんなにも魔法を使いこなすなんて…」

 一連の攻防を終え、暮人は一旦、戦闘開始前ぐらいの距離を取り、お互いもう一度戦闘態勢になった。

 「それでは、次は私から行きます!」

 そう言ったサラは、空高く飛び上がった。

「現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く