現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第39話 過去(10)

 「お父様、これは何?」

 突然現れた水晶に私とリーちゃんは驚きを隠せないでいた。
 水晶には何か映し出されていたが、この距離からでは何が何だかわからなかった。

 「説明は後だ、とりあえず水晶を見てくれ。」
 「う、うん…わかった。」

 リーちゃんのお父様の言う通りに、私達は水晶に近づいた。
 水晶に近づいていくにつれて、誰かが水晶に映し出されているのがわかった。
 更に水晶に近づいていき、ある程度近づいたところで足を止め、水晶に意識を集中させた。
 水晶に映し出されていたのは、どこかの場所とかではなく、とある少年が映っていた。
 その少年は家族にいじめられ、他の人にはそのことを言わずに自分一人で抱え込んでいて、何か少し前の私と同じような感じがし、その少年に目が離せなくなっていた。

 「お父様、この方は?」
 「この者は、夕凪暮人という人間だ。」
 「人間…?」
 「ああ。」

 私も噂でしか聞いたことがなく、この目で見るのは初めてだった。

 「それで、お父様はなぜこの方を見ているの?」
 「実はな、前にリーゼには異世界の話をしたのを覚えているか?」
 「まぁ覚えてはいるけど…。」

 私もリーちゃんと遊んでいる時に異世界のことは聞いたことがあった。
 特に私には関係なかったが、あまりに悲惨な話だったため、記憶に残っていた。

 「この人間をこっちに呼び、我らの作戦に協力してもらおうと思ってな。」
 「な、なるほど…?」

 作戦の内容を伝えられていない私達からしたら、人間をこちらに呼ぶ理由がわからなかった。

 「よし、今日はこれで終わりだ。」
 「えっ!終わりなの?」
 
 リーちゃんのお父様の急な発言に、私達は驚いた。

 「明日からは、二人共こっちに来てくれ。」

 淡々と話が進み、私は言葉を発せないまま展開へと帰った。
 それからは、魔界に行くたびに暮人様をずっと見て、時間になると帰るということを繰り返していた。
 私は見ているたびに、暮人様の家族以外に向ける優しさに惹かれていった。
 暮人様と会った時のために、人間が住む世界とこれから行く異世界の勉強もした。
 そして、暮人様を魔界に呼ぶ日になった。

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