現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第31話 過去(2)

 「サラよ、そろそろ部屋から出てきて話してくれんか?」

 扉の向こうからそんなおじいさまの声が聞こえてきた。

 「……」

 私は何もしゃべらず、おじいさまが部屋の前からいなくなるのを待った。
 数分もすると、今日も残念そうなため息をついて、部屋の前からいなくなった。
 もう数週間ほど部屋にこもって、扉の前に置かれるご飯だけを食べて寝るという日々を繰り返していた。
 幼いころに両親を亡くしてから、私はずっとおじいさまと一緒に住んでいた。
 年が近い子からはそのことでよく馬鹿にされたり、私の気弱な性格を面白がっていじめられていた。
 それに加えて、私のおじいさまは天界で一番偉い存在なこともあって、おじいさまのことをあまりよく思っていない大人からも暴力や物を投げられ、次第に私は外の出るのが怖くなった。
 ずっと部屋にいると、私をいじめる同い年の子や大人も来なくなった。
 おじいさまにこのことを話そうか悩んだけど、もし話してしまって、おじいさまが怒り、私をいじめてきた人達に罰を与えようとしたら、そこを見たほかの人々からはあまりよく思われないどころか、悪く思う人達が増えるだろうと思い、自分の中で閉じ込めた。
 私はこれからどうなるのか、このまま一生部屋を出ないまま死んでしまうのだろうか、そんなことを考えながら目を閉じた。
 そういえば、前は一日中家の中にいたおじいさまが、最近毎日どこかに行ってるようだった。
 いったいどこに行ってるのだろう…でももう私には関係ないことだし、考えないでいよう。
 そして私は、今日も一日中いたこの部屋で眠りについた。

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