現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第23話 ビィナ(2)

 「暮人様。その子はいったい誰なんですか?」
 「ひっ!」

 サラは笑顔で喋っているが、言葉はすごく冷たく、まるで拷問でもされているのかと思うほどの恐怖を感じた。
 いや!落ち着くんだ俺!サラ達なら話せばわかってくれるはずだ。

 「この子はその、街であって…」
 「街であってあまりの可愛さに連れて帰ってきたんですか?そうなんですか?」

 ダメだ!今のサラじゃ、なに話しても聞いてくれなさそうだな…
 未だサラの瞳には光がなく、口調も段々きつくなっている気がした。
 ビィナもサラに怯えたのかいつの間にか俺の背中に隠れていた。
 これが俗にいうヤンデレエンドというやつなのだろうか、俺はサラにビィナのことを説明するのを諦めようとした時だった。

 「まぁまぁサラ、一回落ち着いて暮人様の話を聞こうよ。」

 サラと俺の間に立ち、そう言ったのは、リーゼ…いや女神だった。
 
 「リーちゃん…」

 少し落ち着いたのか、サラの瞳に光が表れた。

 「ね?何か事情があるんですよね?暮人様。」
 「そ、そうなんだ実は…」

 俺はサラとリーゼに今日起きたことをくまなく話した。
 話していくにつれて、サラがいつも通りの感じに戻っていくのが分かった。

 「それで、今から汚れを落としにお風呂に入れようとしてたんだ…」
 「なるほど…」

 俺は嘘一つなく伝え終わった後、サラが気になりなりながらも、沈黙の間、下を向いていた。

 「……でした。」
 「え?」
 「申し訳ありませんでした!」

 サラが脱衣所全体に響くぐらいの大きさで謝った。
 いきなりのことに、この空間にいたサラ以外の人は呆気にとられていた。

 「私、てっきり暮人様が街で出会った可愛い子を連れて帰ってきたのかと思ってしまって、本当に申し訳ありませんでした。」

 そのニュアンスだと間違ってない気もするがここは言わないでおこう。
 もうあんなサラは二度と見たくない…

 「い、いいって。疑われるようなことをしてたのは本当だし、こちらこそなんか心配させちゃったみたいでごめんね。」
 「い、いえ。暮人様が謝るなんてとんでもないです。」
 「まぁとりあえず誤解がとけて良かったですね暮人様。」

 今回はリーゼに救われたな…また今度お礼をしよう。

 「それにしても、なんでこの子が街なんかに…」
 「ああ、俺もフードを脱がせるまで気づかなっかたけど…」
 「これは何か事情がありそうですね。」

 俺達はビィナのある部分に目が離せなくなっていた。
 この辺りではすごく珍しいもの…そう、ずっとフードで隠されていた獣の耳に…

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