現実世界が嫌になったので、異世界で魔王の夢を叶えて来ます!

白星

第22話 ビィナ(1)

 家のドアを開けた俺はまず中に誰もいないかを確認した。
 
 「………」

 よかった…二人とも外に出てるみたいだな。
 それにしても、ここにいると、そう遅くないうちにばれてしまう。

 「どうしたもんかな…」

 まぁ悩んでいても仕方ないし、もしばれても二人なら話を聞けば納得してくれるだろう。
 なんだかんだ迷ってしまったが、とりあえずビィナを家に入れ、リビングへ案内した。
 なぜリビングかというと、ビィナと出会ってすぐ家へと向かってしまって、その時の目的だった飯を食べることを忘れてしまった俺は、今にも腹が鳴り出しそうなぐらい空腹だからだ。

 「俺は何か食べるけどビィナはどうする?」
 「………」

 ビィナが小さく頷いた。どうやらビィナも腹が減っているのだろう。

 「じゃあそこに座って待っていてくれ。俺は何か作ってくるから。」

 またまた頷くビィナを確認して、俺はキッチンへと向かった。
 今では二人が交代で毎日ご飯を作ってくれるが、前の世界ではいつも自分の食べるものは自分で作っていた。
 
 「久しぶりに料理するのも楽しいな。」
 
 正直この世界の食べ物は、まだわからないことが多いが、今まで食べてきた料理でなんとなくだが素材の味はわかってきた。

 「よし!これで完成っと。」

  作った料理を二人分になるように皿に取り分け、ビィナが待っているリビングへ運んだ。

 「ほら、召し上がれ。」

 よっぽどお腹がすいていたのだろう、山盛りに盛られていた料理がみるみる減っていた。
 おそらくだが、飲まず食わずでずっとあの街にいたのだろう、服の汚れ具合からして、一日、二日ぐらいの感じはしなかった。

 「どうだ?美味かったか?」
 「………うん。」
 「そうか、ならよかった。」

 腹も満たしたし、あと気になるのは…

 「なぁビィナ、これからお風呂に入ってもらおうと思ってるんだが…一人で風呂に入ったことはあるか?」
 「………」

 ビィナが首を横に振った。
 スゥー、なるほど…こればっかりは仕方がないか。
 そうと決まれば善は急げだ!
 俺はビィナの手を引いて風呂場へと向かった。
 急いで自分の服を脱ぎ、仕方ないと言い聞かせながら、ビィナのフードを脱がした。

 「ビィナ、お前ってもしかして…」
 「暮人様!ただいま戻り…ました。」
 「どうかしたのサラ?あ…」

 これは…詰みですね。
 目の前で、女の子の服を脱がしている俺を見る二人のきれいな目からはハイライトがなくなっていた。
 これは…うん、死んだな。

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