異世界救う元漁師

琴瀬 ういは

ナルカディア魔法学園

俺たちは無事に王都に着き、今は学園を目指していた。

学園は城の近くにあるらしく、今はものすごく目立つ城を見ながら、学園を目指している。

今俺たちが歩いているのは、商店街のような場所だ。
色々な人が入り交じり、ガヤガヤしている。
流石、王都だなって思う。

ソフィアは離れないように、俺のコートの袖を掴んでいる。
ちなみにバイクは目立つため、途中で俺の空間にしまった。

にしても、ほんとに人が多いな。
多すぎて地面が見えないぐらいだ。

そして一つだけ、嫌なことがある。
それはさっきから人の目線が凄いってことだ。
ソフィアを見ているのか、俺を見ているか分からないがもう凄い。


そんな中、ソフィアと同じ制服を着ている人がいた。
きっと彼女について行けば着くだろう。

俺は彼女に話しかけようとした。
しかし、その前に何やらチャラそうな男が2人、学園の生徒と思しき女子に話しかけた。


「ヘーイ、ねぇ君可愛いね!俺たちと遊ばない?」

「・・・」

「え?なに?無視ですかぁ〜?なぁ、ガキが舐めてるとどうなるか分かってるのか?」


おっと、面倒な場面に直面した。
ソフィアも少し引いている。

でも、助けないときっと女生徒が困るだろう。


「ごめんソフィア、少し待っててくれるか?ちょっと片付けてくる。」

「・・・あそこの噴水で待ってる。」


ソフィアは噴水がある所に指をさし、走っていった。
俺も女生徒がいる場所に走る。


「ねぇ、なんで黙りなのさぁ」

「・・・」

「おーいっ、お前こんな所にいたのかよ。ほら、行くぞ。入学式だろ?」

「え?な、なに?」


女生徒は戸惑いながら俺に引っ張られる。
それもその筈、俺が急に知人の様に現れたんだからな。


「おい、待てよ!てめぇ、そいつの何だよ!」


チャラ男のひとりが俺を止めた。


「あ?失せろ、俺はこいつの兄だ。」


俺は瞳殺術を使った。
チャラ男は気絶して、その場に倒れた。

呆気ないな、ていうかこれは便利だな。
少し、ピクピク動いているのは気にしない。


「ひぃ!す、すみませんでじだぁあ!」


もう1人のチャラ男は腰を抜かして逃げていった。
ざまぁみろ馬鹿が。


「あ、あの、ありがとうございました。」


女生徒はぺこりと頭を下げた。
その後、顔を上げて満面の笑みをニコっと。
あら、可愛い。

髪はミントグリーンの様な色をしている。
目の色はレモン色でパッチリしていて可愛らしい。

全体的にThe女の子って感じですごい。
きっと女子力高いぞ。


「いや、気にしなくてもいい。なぁ、学園に行くんだろ?俺も学園に行くから、一緒に行かないか?」

「わぁ!ほんとですかっ。私、道に迷ってしまって、あ、ネネカって名前です。よろしくお願いします!」

「俺はレイ、騎士として学園に行くんだ。俺の主はあそこにいるから行こう。」

「はいっ。」


この子は元気がいいな。
俺とネネカと名乗った女生徒は、ソフィアがいる噴水の場所へ向かった。

ん?なんか騒がしいな。
俺はネネカの手を掴み、人混みを分けながら進んだ。
やっと前に来たんだが、原因が目の前にいる。

ソフィアだ。
とても綺麗な歌声で歌っている。
目を瞑り、歌っているせいか周りが見えていないのだろう。

聞いている人達も皆、ほっこりしている。
ネネカも影響を受けていた。


「とてもキレイです。はぁ、素敵です。」

「えっと、俺の主だよ。」


一様、俺は騎士なのでソフィアの事は、主と呼ばなければならない。
あと、敬語も使わないとダメらしい。

にしても歌上手いな。
俺も感化される。

でも、止めないと入学式に間に合わないからな。
これは仕方ない。


「ソフィ、じゃなくて主、そろそろ行きましょう。」

「・・・ん、・・・レイ、敬語に違和感大あり。」

「仕方ないでしょう。慣れないんですから。」

「・・・彼女は?」

「わっ、私ネネカって言います。」


ネネカは緊張しているらしい。
肩の力を抜けよ。


「・・・私はソフィア、・・・よろしくね」

「はいっ。わぁ、友達出来ましたぁ!」

「・・・ん、私も嬉しい。」


良かったなソフィア、友達が出来て。
さて、早く学園に行こう。
マジで間に合わなくなるからな。

俺は2人を連れて人混みの中を進み、学園を目指した。

2人はどうやら相性が良いらしい。
かなり仲良く話している。

しばらく歩いていると、人の流れが少なくなった。
俺は2人の後ろを歩いて、安全を確保しながら学園に向かった。


30分程歩いてようやく着いた。

1つ言いたいことがある。
めっちゃデカイ。
とにかくデカイなこの学園。

校門には多くの生徒がいた。
皆、花びらが入った籠を持っている。


『入学おめでとうぉ!』


その声と同時に花びらを散りばめていった。
きっと先輩方なんだろう。
というか、間に合ってほんと良かったよ。

俺たち3人は、やたらデカい校門を通ると、1人の生徒が出てきた。

スポーツ系男子みたいな奴だ。


「入学おめでとう。今から入学式を行う講堂に案内するよ。着いて来て。」


なんとまぁ、ご丁寧に。
少し歩くとめっちゃ大きい体育館のような場所に案内された。


「うわぁ、とても広いです。」

「・・・ん、こんなに広い必要あるの?」

「それだけ人が多いんですよ、主。」


やっぱり敬語慣れないな。


「・・・主はちょっと嫌かな。・・・お嬢とかにして。」

「わかりました、お嬢。」


確かにこれの方がいいな。
ネネカは何故か、ニヤニヤしている。
やめろ、笑うな!


「入学する生徒2人は前の椅子に座ってね。騎士さんは後ろの席で。」


スポーツ系男子に案内され、俺と2人は指定された場所に座る。

やはり人数が多いな。
騎士って確か、上位貴族しか付けないんだっけ?
俺の場合はイレギュラーだな。
まだしばらく開始まで時間がかかりそうだ。

ていうか、また俺見られてるな。
他にも騎士は居るんだが、かなり見られてる。
何かおかしいのだろうか?
少し顔を動かすと、女騎士と目が合った。

その女騎士は顔を赤くして、すぐに目を逸らした。
なんなんだ?


「やぁ、隣いいかい?」


と話しかけられたので顔を確認する。
ん?イケメンじゃねぇかぁ!

許せないぞ!こいつ、爽やか系イケメソだ。
イケメソがなんで俺の隣に来るんだ。

ま、まさか俺と並んで、自分を魅力をもっと出そうと言うのか!

こ、こいつぅぅ!!


「ええ、いいですよ。」

「これはご丁寧に、ありがとう。」


俺は負けた。
こんなイケメソに負けるなんて、不覚だ。
なんて言うのは冗談。

だが、こいつのイケメン度合いはガチだ。
某イケメン事務所にいてもおかしくないぞ。


「僕の名前、ウリエルって言うんだ。気軽にエルって呼んでね。」

「レイって言います。」

「あっはは、敬語はなくてもいいよ。主の前じゃないし、楽に行こうよ。」

「ん?あぁ、じゃあそうするよ。よろしくな、エル。」

「やっぱりそっちの方がいいね。」


なんだろうな。
コミュ力高いよこの人。
あらいやだ、コミュ力バケモンじゃないの。
まぁ、入学式が始まるまで俺はエルと話した。
意外と面白かったぞ。
それに友達だって言ってくれたしな。


「そろそろ始まるみたいだよ。」

「長くなりそうだな。」

「僕も長いのは嫌いでね。簡潔に済ましてくれる人達だといいね。」


どうやら気が合うらしい。

始まったと同時に講堂のあかりが消え、前の演説台がある場所だけライトアップされた。
そこに1人の男性が出てきた。
見た感じ老人だ。
その人はマイクに向かって話し出す。


「新入生諸君、入学おめでとう。
この学園の学園長、ファーレンと申す。
さて、わしからお主らに3つの願いを言おう。

1つ目、友を作りなさい。
時として友は大事な存在となるだろう。
互いに協力するという思いを胸に秘めて貰いたい。

2つ目、勉学と魔学を怠るな。
人は力を身につければ自信が着くからの。
それに、誰かを守ることも出来る。
だが、力を誤ってしまってはならぬ。

3つ目、学園生活を楽しみなさい。
やはり大事なのはこれだとわしは思う。
この生活が楽しくなければ、全てが楽しくないからの。

わしからは以上じゃ。
皆、精進することじゃぞ。」


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拍手が結構続いた。
さすがいいこと言うね。

次に一人の生徒が出てきた。
金髪碧眼の美少女だ。
すっごく綺麗だ。


(レイもあの女の方が好みなの?)

(俺はあんまり外見気にしないぞアンジュ)

(その言葉、私信じないわ。)


なんなんだよ。
っと演説が始まった。


「私は生徒会長、アリスと申します。
皆さんには良き学園生活を送って欲しいと思っています。

私も生徒会としてもちろん尽力しますし、困ったことがあればいつでも頼ってください。

私にも皆さんにお願いがあります。
それは他人に迷惑をかける行為はやめて欲しいということです。

これは経験談ですが、私は何度も嫌がらせにあったことがあります。
とても嫌な思いしました。
でも、あなた達にはそんな思いはさせたくありません。

もし、そんなことがあればすぐに私に知らせてください。
その時は必ず助けます。

私からは以上です。」


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学園長より長い拍手が続いた。
うんうん、いい演説でした。


『これにて入学式を終わります。新入生と騎士の皆さんは教師の案内に従って行動してください。』


アナウンスが流れた。
教師の指示を待つか。

そういえばメイドさんにまだ会ってないな。
どんな人なんだろうか。


「さぁ行こうレイ、案内されたよ。」

「あぁわりぃ、今行く。」


俺たちはとある教室に案内された。

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