異世界救う元漁師

琴瀬 ういは

ネロからの手紙

ソフィア宅に帰り、自室に戻ると机の上に手紙があった。
一体誰だろう?と思いながら手紙を裏返すと、『奉仕の神ネロ』と書いてある。

そう、ネロからの手紙である。
神界で何かあったのか?

俺は手紙の内容を確認した。


『お久しぶりです、メイドのネロです。
お元気にお過ごしですか?
ネロがいなくて寂しいとかないですか?

今回、手紙を出したのは私がちょっと寂しくなってしまいまして…。
いつでも良いので返事をくれるととても嬉しいです。

それと魔術について、全く教えられてなくてすみません。
この手紙の他に紙があると思います。
そこにレイ様に合う魔術が全て書いてあります。

どれもすぐ使えるようになりますから、安心してください。

世界を救うことは大変ですが、心から応援しています

                                       奉仕の神    ネロ』


やっぱり寂しくて手紙を送ってきたか。
それにしても魔術は使えるんだな。

もう1枚、紙に目をやると色々と書いてあった。


『瞬足術・・・足に魔力を纏い、長距離を走
                     ってください。

気配遮断術・・・常に自分の気配を殺してい
                         れば、使えるようになりま
                         す。

瞳殺術・・・目に殺気を込めて人を見つめて
                 ください。その人が気絶したら
                  成功です。

飛翔術・・・この術はイメージが大事です。
                 鳥になった気持ちでやれば、き
                 っとできます。

治癒術・・・人の心を癒すイメージが大切で
                 す。成功すれば、どんな外傷も
                 直せますよ。


魔術は魔法と違い属性の概念がありません。
そのほとんどが、イメージで出来ています。
そのポイントさえ、掴めばマスターできますよ。
頑張ってくださいね。

追筆    ほんとに、たまにでもいいので手紙をください。』


これが今の俺が使えるようになる魔術か。
学園に行くまでまだ時間はあるし、明日からやるか!

それと今からでも手紙を書こう。
でも、書いてもどうやって送ればいいんだ?


(私がいるじゃない。私ぐらいの精霊になれば、神界に行くのは容易いわ。)

(届けてくれるのか?)

(そうよ、感謝しなさいよね!)


ツンデレですねぇ、分かります。
俺は椅子に座り、すぐに手紙を描き始めた。

トントン

部屋のドアがノックされた。
手紙を書いてから10分ぐらい経ったが、まだ書き終えてはいない。

もしかしてソフィアかな?


「あいてるよ。」

「・・・レイ、これどう?」

「お、おう、めっちゃ似合ってるぞ。」


ソフィアが着ていたのは、学園の制服だった。
白と黒を基調としたブレザーにスカート。ハイソックスを履き、ブレザーの中にはパーカーを着ている。

なんというか、完璧やな。
これなら、学園の男子共にめっちゃ狙われるな。

ま、俺はソフィアが男と付き合うのは、いいと思う。
だがしかし、俺が認めた男じゃないと許さん。


「・・・似合ってる。・・・ありがとう。」

「うん、急だったからびっくりしたけどな。」

「・・・あと、レイにプレゼント・・・これ、あげる。」


ソフィアの後ろにチラチラと、見えていた箱が俺の前に出される。

俺は何も言わず、受け取り、箱の中を開けた。
そこには鞘が入っていた。

全体的に黒く、所々に白色や金色で装飾されている。


「・・・これは、私が作ったの。・・・とても頑張ったっ。」

「こ、これを、俺にくれるのか?こんな上等な物を?」

「・・・うん、レイの騎士祝だよ。」

「あ、ありがとう。でもソフィアが作ったのか?これ?」


そう聞くと、ソフィアは自分の手を隠した。
よく見ると絆創膏の様なものをいっぱい貼っていた。

かなり頑張ったんだろう。
これはほんとに感謝だな。


「ありがとう。大事にするよ。」


俺は黒狼<春月光>を出し、貰った鞘にしまった。

それを腰に着けると、ソフィアが目をキラキラさせる。


「・・・レイ!・・・かっこいいっ!」

「お、おう。ほんとにサンキュな」

「・・・うん!」


窓を見ると空が夕日に染まっていた。

そろそろご飯を食べに行こう。
俺とソフィアは1階へおり、クレアの美味しい料理を食べた。

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