そこからはじまる恋!

成瀬瑛理

この気持ちを言葉にするなら……1

「葛城さん……その、俺のせいで苦しい思いさせてすみません。頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃったんですよね……?」

「っぅ……くっ………!」


 阿川は泣いてる彼の頭に手を置くと、優しく撫でたのだった。葛城は色々な感情が胸に押し寄せると、涙を堪えるのが精一杯だった。


「お前のせいだ……! 阿川、お前が俺にあんなことしなければ……! お前が俺に好きなんていわなけば……!」


 葛城は泣きながらそう言い返すと、肩を小刻みに震わせた。阿川はそんな彼の話を傍で黙って聞いたのだった。


「――…ごめんなさい葛城さん。でも、ちょっとだけ嬉しいです。だってそれって俺のこと少しだけでも考えてくれたんですよね?」



 彼のその言葉に葛城は、ハッとなると顔を上げた。



 俺がこいつのことを…――?




 俺が阿川を……?




 俺が…………。







 葛城は彼の顔をジッ見つめると、自分の気持ちにといかけたのだった。




 俺が阿川を…――。




 葛城は彼の瞳を真っ直ぐ見つめると、自分の唇を噛んだ。



「くそっ……! なんでこんな……! 全部お前のせいだ……! 阿川お前がいけない……! お前のせいで俺はこの会社を辞める決意したのに何でこうなるんだ……!? なんでお前が俺よりさきに退職届けを出しているんだ……!? お前のせいで何もかもぶち壊しじゃないか……! それに何で、俺の仕事をお前が勝手に片付けてるんだ!? ちゃんと全部わかるように説明しろ……!」


 葛城はそう話すと彼の胸を拳で叩いたのだった。



「葛城さん、その……怒らないで聞いてくれますか? ホントは俺も怖かったんです……。貴方に酷いことしたのは自分でも、よくわかってます。最低な奴だって自覚してます……。だから葛城さんがあのあと会社にこれなかったのも、俺のせいだとずっと思ってました……。それに貴方が来ても、俺がここにいるから居づらいのもわかってました。だからせめてもう一度、貴方の顔を見れたら辞めようと思ったんです。勝手な奴でごめんなさい。でも貴方に出来ることはなにかを考えた時に、それしか思いつかなかったんです。それに俺は自分のせいで貴方にここを辞めて欲しくなかった……。多分これは俺の自分勝手なエゴなんですけど、でも葛城さんに辞めて欲しくなと思ったおもいは本当です…――!」


「阿川……お前……」


「――って、退職したヤツが何言ってるんだって感じなんですけどね……。ああ、その事なら心配は要りません。俺ならすぐに他の所でもやって行けそうですし……!」



 葛城は彼のその言葉に呆然となると、その場で立ち尽くしたのだった。



「そこからはじまる恋!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く