そこからはじまる恋!

成瀬瑛理

激情2

「でも安心して下さい、俺はもう二度と貴方の前には現れない。それにあの時に撮った画像は全部削除しました。その方が貴方も安心でしょう。あの夜に繋がるものはもうありません。あとは俺が貴方の前から消えます。そしたら…――」



「阿川、お前っっ……!!」



 彼がその言葉を口にした瞬間、葛城は右の拳で阿川の顔を殴った。感情を剥き出しにして殴ると阿川はそのまま地面の上に倒れた。そして、驚いた表情を見せたのだった。


「ッ……!」


 殴られた拍子で唇を切ると、口から血が滲んだ。阿川は彼に殴られると、そこで呆然とした表情で動かなかった。葛城は怒りまかせに殴ると、倒れた彼を上から見下ろしたのだった。


「お前あの時、俺になんて言ったのか忘れたのか? 何もかも奪い去ってしまいたいくらいお前は俺が好きなんだろう、違うか?」


「えっ……?」


「あれはお前の口から出たデマカセカか? 俺のことを奪っておいてお前は逃げる気なのか?」



「葛城さん…――」



 阿川はその言葉に心臓がドキッとした。そして、ただ呆然と彼の顔を見上げた。


「ガッカリだな。お前にとって俺は、その程度の男だったのか? 人の体を散々、おもちゃの様に弄んで用がなくなったら自分から消えるのか?」


「葛城さ……!」


「正直お前がそんな奴だとはおもわなかったぞ……! 俺の気持ちなんかお構い無しに自分だけ満足すれば終わりなのかっ!?」


 葛城はそういい放つと、抑えていた感情を昂らせたのだった。阿川は葛城にそう言われるとその場から立ち上がって彼に触れようとした。


「違います……! 俺は葛城さんを……!」


「触るな!」


 葛城は彼の手が体に触れると、咄嗟に振り払ったのだった。


「俺を思い通りに出来て満足か?」


「好きだの勝手なことばかり言って、自分の一方的なおもいを言った挙げ句には、好き勝手に俺のことをおもちゃに出来たんだもんな……! でもやられた俺の気持ちなんてお前には解らないだろ…――!?」


「かっ、葛城さん……」


「お前言ったよな……!? 好きって理由があれば例えそれが間違いでも、正当化できると……! だけど俺に言わせればあんなのは只のレイプだ!それでことが済んだら今度は俺から黙って離れるつもりだったんだろう!?」


「俺はお前の一体、なんだ……!? 人をバカにするなよな! 俺はお前にあんなことされてからずっと胸が苦しくて、ずっとずっとお前のことばかり考えてたんだぞ! なのに勝手に消える……!? お前ふざけるな!」


 葛城は感情を剥き出しにしたまま訴えると、拳で阿川の胸を叩いた。その表情は怒りと悲しみに支配されていた。やり場のない想いを全部ぶつけると、葛城は阿川の前で涙を流したのだった。

 片方の手で自分の顔を押さえると、涙を隠すように泣いたのだった。阿川は目の前で突然泣かれると、困った表情でただ見つめた。そして、泣いてる彼の頭にそっと手を伸ばした――。





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