そこからはじまる恋!

成瀬瑛理

激情1

 葛城は阿川を会社の屋上に連れ出すと、その場で怒りを露にしながら問い詰めた。

「阿川、お前どういうつもりだっ!? 今朝早くに課長に退職届けを出して、俺に挨拶も無しに黙っていなくなる気だったのか!?」

「それも俺が来る15分前にだと……!? お前ふざけてるのか!」

 葛城は溜まっていた感情を爆発させると、拳を怒りで震わせた。阿川は彼に問い詰められると黙って視線を反らしたのだった。


「目を反らすな、俺の方を見ろ!」


 そう言って葛城は彼のYシャツを両手で掴んだ。阿川は怒り狂う葛城の姿を目の前にフと静かに笑った。


「お前、何がおかしい……!? 言いたい事があるなら、俺にハッキリと言ったらどうだ!!」


 葛城は抑えていた感情を剥き出すと、強い口調で彼に言い放った。そして、今にも殴りそうな勢いを見せた。


「俺が辞めなくても葛城さんは辞めてましたよね――?」


「なっ……!?」


 阿川のその言葉に、葛城は自分の心臓がドキッとなった。何故そのことをと知っていると聞き返す暇もないほど、その場で動揺したのだった。葛城の表情が一気に変わると阿川はそのまま話を続けた。


「……ほら、やっぱりそうだ。葛城さんは直ぐに顔に出過ぎなんです。見ていてもバレバレです」


「なっ、なんだと……!?」


「……でも、こんな形で最後に貴方に会えるとは思いもしませんでした。俺はもう、貴方に会う資格なんてないですから――」


「あっ、阿川……!」


 彼のその言葉に葛城は心臓がドキッとした。そして、掴んだYシャツを両手から離した。


「……阿川、何故そう思う?」


「そんなこと自分でも解ってます。俺は貴方を傷つけた酷い男ですから…――」


「ッ……!?」


「貴方に酷いことしたから嫌われて当然です。いいえ、本当は葛城さんは俺に会うのも嫌なハズですよ。何せ俺は貴方を無理やりレイプした悪い奴ですから――」


 彼のその言葉に一瞬、あの日の夜の出来事を思い出した。体の自由を奪われ、無理やり拘束されてレイプされた記憶が甦った。するとたちまち身体中がゾクッとするような寒気を感じた。


 阿川のその言葉に否定は出来なかった。彼にレイプされたのは本当のことだった。だから余計に沈黙したまま、葛城は阿川に対して動揺を隠せなかった。


 無理やり抱かれただけじゃなく、精神的な苦痛と屈辱と凌辱。そして、強引に体を暴かれ、それと同時に体に刻み込まれた快楽を知ってしまった。


 一瞬でもあの記憶を思い出すと、体は一気に熱くなった。葛城は阿川を目の前に自分の熱く火照った体を隠すのがやっとだった。




「そこからはじまる恋!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く