そこからはじまる恋!
決意3
他の書類にも目を通すと全部、完成していた。葛城はそれを見るなり言葉を失ったのだった。
これを全部、あいつが一人で……?
何でだ。この仕事は俺の仕事だろ……?
何であいつが俺の仕事の分まで…――。
これだけの量を一人でやるのは俺だって根をあげる。なのにあいつはこれを全部、一人でやったって言うのか……!?
葛城は全身が震えると、ファイルを手に持ったまま愕然と立ち尽くした。するとファイルの間から小さなメモ用紙がヒラリと足下に落ちた。それを拾うと、そこには彼の文字が書かれていた。
━━━━“ 全部おわってます ”━━━━
小さなメモにはたった一言の文字が書かれていた。阿川がどう言うつもりで自分の仕事を代わりにやって片付けたのかは解らないが、葛城はその文字を読み取ることで彼の優しさに触れたのだった。
阿川はあんな奴だけど、根はいい奴だ。
なのに、なのに………。
葛城はその紙をぎゅっと握り締めると、肩を震わせて彼のことを思ったのだった。
「俺もどう言うつもりかは知らないけどさ、阿川の奴がお前の仕事を黙々と片付けてたんだよ。やっぱりあいつ新人の癖にすげーよな。さすが課長に気に入られるだけにあるぜ。俺だったら自分の仕事で低一杯だもん。葛城、先輩想いのいい後輩持ったな!後で阿川にちゃんとお礼言っとけよ?」
萩原はそう話すとコーヒーカップを片手に自分のデスクに戻った。葛城は彼が片付けた報告書が入っているファイルを机の上に戻すと、その場から離れて課長室へと向かったのだった。
「失礼します、葛城です……! 戸田課長にお話がありますっ……!」
課長室をノックもせずに扉を開けると、真っ先に話しかけた。戸田課長は机に肘をついたまま、頭を抱えていた。その机の上には阿川が出した退職届けが置かれていた。葛城はそれを目にすると、自分の心臓がドキッとなった。そして再び体が怒りで震えたのだった。戸田課長は頭をあげると、そこから不機嫌そうに話しかけたけ。
「葛城、朝から騒がしいぞ! 一週間も休んで体調は良くなったのか!? 体調が良くなったなら早く自分の仕事に戻れっ!!」
戸田課長は不機嫌な顔でそう話すと、自分の机を両手でバンと叩いた。葛城は怯むこともなく、彼に尋ねた。
「戸田課長、阿川が退職届けを出した話は本当ですか……!?」
「何……?」
「そうだとしてもお前には関係ないだろ!? 有望な人材を失ったのがそんなに嬉しいか!?」
「戸田課長っ!」
彼がそこで声を荒らげると、葛城は机に両手をバンとついて面と向かって話し返した。
「たぶんそれは俺のせいです……!」
「何っ!?」
「詳しくは話せませんが、阿川が退職届けを出した原因は俺にあります……!」
「葛城貴様ぁっ!!」
戸田課長はその言葉にカッとなると、彼のネクタイをグイッと掴んで引っ張った。
「貴様、どう言うつもりだっ!? 阿川が辞めたのはお前の責任だと言うのか……!?」
「そうです……! 責任は俺にあります……!」
「なにぃっ!?」
「だから…――!」
葛城は戸田課長に面と向かって話すと、思っていることを伝えたのだったーー。
これを全部、あいつが一人で……?
何でだ。この仕事は俺の仕事だろ……?
何であいつが俺の仕事の分まで…――。
これだけの量を一人でやるのは俺だって根をあげる。なのにあいつはこれを全部、一人でやったって言うのか……!?
葛城は全身が震えると、ファイルを手に持ったまま愕然と立ち尽くした。するとファイルの間から小さなメモ用紙がヒラリと足下に落ちた。それを拾うと、そこには彼の文字が書かれていた。
━━━━“ 全部おわってます ”━━━━
小さなメモにはたった一言の文字が書かれていた。阿川がどう言うつもりで自分の仕事を代わりにやって片付けたのかは解らないが、葛城はその文字を読み取ることで彼の優しさに触れたのだった。
阿川はあんな奴だけど、根はいい奴だ。
なのに、なのに………。
葛城はその紙をぎゅっと握り締めると、肩を震わせて彼のことを思ったのだった。
「俺もどう言うつもりかは知らないけどさ、阿川の奴がお前の仕事を黙々と片付けてたんだよ。やっぱりあいつ新人の癖にすげーよな。さすが課長に気に入られるだけにあるぜ。俺だったら自分の仕事で低一杯だもん。葛城、先輩想いのいい後輩持ったな!後で阿川にちゃんとお礼言っとけよ?」
萩原はそう話すとコーヒーカップを片手に自分のデスクに戻った。葛城は彼が片付けた報告書が入っているファイルを机の上に戻すと、その場から離れて課長室へと向かったのだった。
「失礼します、葛城です……! 戸田課長にお話がありますっ……!」
課長室をノックもせずに扉を開けると、真っ先に話しかけた。戸田課長は机に肘をついたまま、頭を抱えていた。その机の上には阿川が出した退職届けが置かれていた。葛城はそれを目にすると、自分の心臓がドキッとなった。そして再び体が怒りで震えたのだった。戸田課長は頭をあげると、そこから不機嫌そうに話しかけたけ。
「葛城、朝から騒がしいぞ! 一週間も休んで体調は良くなったのか!? 体調が良くなったなら早く自分の仕事に戻れっ!!」
戸田課長は不機嫌な顔でそう話すと、自分の机を両手でバンと叩いた。葛城は怯むこともなく、彼に尋ねた。
「戸田課長、阿川が退職届けを出した話は本当ですか……!?」
「何……?」
「そうだとしてもお前には関係ないだろ!? 有望な人材を失ったのがそんなに嬉しいか!?」
「戸田課長っ!」
彼がそこで声を荒らげると、葛城は机に両手をバンとついて面と向かって話し返した。
「たぶんそれは俺のせいです……!」
「何っ!?」
「詳しくは話せませんが、阿川が退職届けを出した原因は俺にあります……!」
「葛城貴様ぁっ!!」
戸田課長はその言葉にカッとなると、彼のネクタイをグイッと掴んで引っ張った。
「貴様、どう言うつもりだっ!? 阿川が辞めたのはお前の責任だと言うのか……!?」
「そうです……! 責任は俺にあります……!」
「なにぃっ!?」
「だから…――!」
葛城は戸田課長に面と向かって話すと、思っていることを伝えたのだったーー。
コメント