そこからはじまる恋!

成瀬瑛理

豹変1

モゾモゾっ


「ん……?」


 体の妙な違和感に気がつくと、俺は思わず阿川の顔をジッと見た。奴は突如、人の着ているシャツを捲るとそこに左手を入れてきた。


「な、何やってるんだお前……?」


「何を…――」


 そう言って不意に尋ねると、シャツの中に入れてきた手を上に忍ばせてきた。

「っ……!?」

 奴はニコリと笑いながら、俺の乳首をいきなり摘んだ。


「あっ……!?」


「はぁはぁ、葛城さん……!」


「あっ、阿川……! 何を……!?」


「葛城さんが余りにも可愛いので我慢できそうにもないです……!」

「な、何っ……!?」

 その言葉を耳にすると、俺はとっさに奴を突き飛ばそうとした。すると阿川が俺のことを強く抱き締めてきた。

「ああ、可愛いい……! 可愛いい……! 食べてしまいそうなくらい葛城さんが物凄く可愛いです……!」

「阿川何をする……!? はっ、離せっ……!」

 そう言って突き飛ばそうと力を入れても奴の腕はびくともしなかった。まるで勘定な檻のようだった。もがけばもがくほど、腕はきつく締まった。

「素直な葛城さん、ヤバい萌えます……! いつもはツンなのに急に可愛くなるなんて、クーデレたまりません……!」

 そう言って阿川はわけのわからないことを俺の近くで話すと、そのまま強引にベンチに押し倒してきた。そして次の瞬間、奴の唇が俺の唇に重なった。それはまさに自分にとって信じられないような瞬間だった――。

「んっ……あっ、阿川……!」

「はぁ……葛城さん……」

「ンンッ……!」

 熱い吐息とあいつの舌が自分の口の中で絡み合う、そのゾクゾクするような快感に体が熱くなってきた。嫌なのに拒めない。下で感じるのはあいつの体の重みだった。抵抗出来ずにそのままあいつのペースにのまれた。

「葛城さん……!」

「阿川っ……やめ……!」

「ンッ……!」

 口を開くと直ぐにあいつは俺の口をキスで塞いだ。その繰り返しだ。


「や、やめろ……!」


 そう言って俺は阿川を突き飛ばした。


「っ……! 痛いじゃないですか、唇を噛むなんて葛城さん酷いな…――」


 阿川は俺の前で平然とした顔でそう言い返した。


「な、なんの真似だ……!? こっ、こんな…――!」


「こんなって何のことですか?」


「阿川っ……!」


 奴はあくまでもシラを切った。その態度が余計に俺の気持ちを煽った。

「ああ、今のですか? そんなの決まってるじゃないですか、キスですよ。ウブじゃないんだからそんなの聞かなくてもわかってますよね――?」

 そう言って答える阿川には余裕の笑みさえ見えた。その態度に頭がカッとなると、俺は奴の胸ぐらを両手で掴んだ。



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