水魔法しか使えませんっ!〜自称ポンコツ魔法使いの、絶対に注目されない生活〜

地蔵さん

アラクネ増殖計画

今しがた作った魔石を持って、アラクネに向き直る。


「お前、魔石を自分で作ったのか!?」
「まぁそんな所。」
「そんなこと、魔王様にだってできるかどうか、、、」
「まぁまぁ、ここまでも大変だったけど、ここからも大変だぞ?」




というわけで、俺の作戦を伝える。


その1、アラクネの魔石が入っている辺りを弱点の光魔法ないしは爆発魔法で吹き飛ばします。
その2、魔剣付きの魔石が出て来たら、これを大きめの結界で一旦囲い、アラクネとの魔力リンクを一時的に遮断します。
その3、このままだとアラクネが数秒後に死ぬので、今作った魔石をあてがい、回復魔法を使います。
その4、アラクネが完全回復した所で、魔剣付き魔石に回復魔法をかけてあげます。


するとあーら不思議、アラクネが2体に増えました。
これぞテセウスの船式、アラクネ増殖作戦。


「というわけ、どうよ?」
「何か嫌な予感がするけど、成功もしそうな感じよな。後ドヤ顔がうざい。」
「ひどっ!?」


まぁたぶん、魔剣付き魔石の方は絶対襲いかかってくるだろうな。
もしくは新アラクネと融合しようとするか、、、。
それを阻止しつつ魔剣を木っ端微塵に破壊してしまう。
行き当たりばったりかつ力業とはいえ、割とうまく行くんじゃね?って気がする。




「アラクネはこの案には反対?」
「いやとんでもない、ぜひやって頂戴。」
「じゃあ、、、始めようか、これを持ってて。」


作った魔石をアラクネに渡す。


「ちょっと待ってイオリ」
「どうしっ??」


アラクネに抱きつかれていた。


「ありがとう。失敗でも後悔はしないよ。もし私に何かあったら」
「ストップ、それ以上は無しだ。絶対に成功させるから心配すんな。」


なんか恥ずかしくて早口になってしまった。


「それじゃ、宜しく頼むよ。」






「そこまでだ。」




第三者の声。ここまで入ってこれるとは何もんだ?
目を向けると、黒髪黒目に学生服の男が、って学生服!?




「何だ貴様は?」
「アラクネ、ヤバい、勇者だ」
「私の邪魔ヲスルノカ?」
「アラクネ、聞いてる?アラクネ!?」
「邪魔ヲ、スルナアァァァァァ!!!」




瞬間、俺はアラクネの脚に吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられた。
そのまま俺には目もくれずに勇者に向かって突っ込んでいった。






なんだ?こっちの話が耳に入ってない。


それに、咄嗟に勇者だと言っちゃったけど、勇者なのかな?
十中八九勇者だろうなぁ。



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