先生の全部、俺で埋めてあげる。
*48
「先生のお兄さん?」
「なんで俺のこと、莉子の彼氏だと思ってたの?」
先生の兄と名乗る目の前のスーツを着た人は、含み笑いをしながら俺に投げかける。
「だって、見たから。先生とその、あなたが腕組んて歩いているとこ」
図書館に忘れ物をした先生を追った、あの日。
先生は確かにこの男の腕に、自分の腕を絡ませにいった。
その後すごく仲よさそうに歩いていった。
あんなの見たら誰だって…。
「あー、昔から仲はいいんだけど、クセっていうか。莉子モテるでしょ?つきまとってくるヤツとかいたから、余計な虫が付かないようにいつもあーしてんの」
は?
なんだよそれ。
そんなことあんのかよ。
え、じゃあ何?
本当に彼氏じゃねーの?
「本当に先生のお兄さんなんですか?」
「キミにウソついてどうすんの」
確かにそんなウソついても何にもならない。
お兄さんの顔を見るとどことなく先生に似ている気がしてきた。
「でも先生の家に男物の部屋着があった」
「え、莉子んち行ったことあるの?」
俺の言葉にお兄さんは少し驚いた表情を見せた。
言ったらまずかったかな。
「成り行きでちょっと」
「それも俺のだよ。成り行きねー、キミも以外とやるね」
お兄さんは毎度、含みを持たせた感じで俺の顔色を伺う。
「でも先生、好きな人がいるって言ってた」
だからきっとお前のことなんだろうなって思ってたのに。
「あー、それね。でも俺の認識では大学生の時以来、彼氏はいないはずだよ」
さっきから全然頭がついていかない。
じゃあ、先生の好きな人って誰?
「どう?ちょっとは俺の話、聞く気になった?」
お兄さんがそう言った時に、ちょうど電車が来た。
「はぁーーー」
俺は頭を抱えるかのようにその場にしゃがみ込んだ。
そんな俺を見下ろすお兄さんと目が合う。
「分かりました」
俺は電車を乗り過ごして、先生のお兄さんについて行くことにした。
未だに信じられない。
先生には彼氏がいると思ってたから。
だから俺、焦って、嫉妬して。
先生に無理やりあんなことして。
まじで何やってんだろう。
お兄さんは駅前のカフェに入った。
話って何だろう。
お兄さんとの共通点は先生のことしかないから、先生の話だよな、きっと。
もし彼氏だったら、俺の女に手を出すなとか、マウント仕掛けてくるんだろうなーって思ってたけど。
兄が俺になんの用?
先生とは仲いいって言ってたし、妹に手出すなってことかな。
あー、彼氏だと思ってたから、お兄さんにひどい態度取っちゃったし、俺の心象、最悪だろうな。
なんで彼氏の存在について、もっと掘り下げで確認しなかったんだろう。
「好きなもの頼んでいいよ」
カウンターのレジに並ぶとお兄さんは財布を出しながら俺に聞いた。
「じゃ、ブラックコーヒー」
そう言って、俺は自分の財布からお金を出した。
「高校生って、子供だと思って油断してると、大人より大人だったりするんだよな」
「は?」
「こっちの話。じゃあ、俺もブラックで」
しばらくして出てきたコーヒーを持って、窓際のカウンター席に座った。
「なんで俺のこと、莉子の彼氏だと思ってたの?」
先生の兄と名乗る目の前のスーツを着た人は、含み笑いをしながら俺に投げかける。
「だって、見たから。先生とその、あなたが腕組んて歩いているとこ」
図書館に忘れ物をした先生を追った、あの日。
先生は確かにこの男の腕に、自分の腕を絡ませにいった。
その後すごく仲よさそうに歩いていった。
あんなの見たら誰だって…。
「あー、昔から仲はいいんだけど、クセっていうか。莉子モテるでしょ?つきまとってくるヤツとかいたから、余計な虫が付かないようにいつもあーしてんの」
は?
なんだよそれ。
そんなことあんのかよ。
え、じゃあ何?
本当に彼氏じゃねーの?
「本当に先生のお兄さんなんですか?」
「キミにウソついてどうすんの」
確かにそんなウソついても何にもならない。
お兄さんの顔を見るとどことなく先生に似ている気がしてきた。
「でも先生の家に男物の部屋着があった」
「え、莉子んち行ったことあるの?」
俺の言葉にお兄さんは少し驚いた表情を見せた。
言ったらまずかったかな。
「成り行きでちょっと」
「それも俺のだよ。成り行きねー、キミも以外とやるね」
お兄さんは毎度、含みを持たせた感じで俺の顔色を伺う。
「でも先生、好きな人がいるって言ってた」
だからきっとお前のことなんだろうなって思ってたのに。
「あー、それね。でも俺の認識では大学生の時以来、彼氏はいないはずだよ」
さっきから全然頭がついていかない。
じゃあ、先生の好きな人って誰?
「どう?ちょっとは俺の話、聞く気になった?」
お兄さんがそう言った時に、ちょうど電車が来た。
「はぁーーー」
俺は頭を抱えるかのようにその場にしゃがみ込んだ。
そんな俺を見下ろすお兄さんと目が合う。
「分かりました」
俺は電車を乗り過ごして、先生のお兄さんについて行くことにした。
未だに信じられない。
先生には彼氏がいると思ってたから。
だから俺、焦って、嫉妬して。
先生に無理やりあんなことして。
まじで何やってんだろう。
お兄さんは駅前のカフェに入った。
話って何だろう。
お兄さんとの共通点は先生のことしかないから、先生の話だよな、きっと。
もし彼氏だったら、俺の女に手を出すなとか、マウント仕掛けてくるんだろうなーって思ってたけど。
兄が俺になんの用?
先生とは仲いいって言ってたし、妹に手出すなってことかな。
あー、彼氏だと思ってたから、お兄さんにひどい態度取っちゃったし、俺の心象、最悪だろうな。
なんで彼氏の存在について、もっと掘り下げで確認しなかったんだろう。
「好きなもの頼んでいいよ」
カウンターのレジに並ぶとお兄さんは財布を出しながら俺に聞いた。
「じゃ、ブラックコーヒー」
そう言って、俺は自分の財布からお金を出した。
「高校生って、子供だと思って油断してると、大人より大人だったりするんだよな」
「は?」
「こっちの話。じゃあ、俺もブラックで」
しばらくして出てきたコーヒーを持って、窓際のカウンター席に座った。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
314
-
-
3395
-
-
63
-
-
440
-
-
17
-
-
2
-
-
70810
-
-
93
-
-
32
コメント