先生の全部、俺で埋めてあげる。
*9
昼ごはんが終わって、次にやるレクを聞いて唖然となった。
愛してるゲーム、とかいうふざけたゲーム。
どこのクラスだ、こんなくだらないゲームを差し込んできたのは。
よく先生も許可出したよな。
愛してるゲームとは、2人組になって順番に愛してるって言い合い、照れたり笑った方が負けっていうゲームらしい。
トーナメント形式で、最後に残った人が優勝。
俺は早めに離脱したかったのに、あんまり照れるというリアクションができないみたいで。
というか相手の女子が照れるのが早すぎて、結構いいところまで勝ち進んでしまった。
俺が「あ…」と言いかけた時点で「もうムリ―!」と照れてしまう女子。
いや、まだ何も言ってない。
はぁ、とため息をつきながら隣を見たら、加ヶ梨先生が男子生徒に「愛してる」って言ってて。
なんか、
見ていられなかった。
なんなんだよ、このゲーム。
くだらない。
てか、なんで先生までやってんだよ。
こんなゲームまで混ざらなくていいよ。
先生と勝負していた男子生徒は「ごちそうさまでーす!」とか言ってて、胸ぐらを掴んでやりたい気持ちになった。
先生は途中で負けていたらしくて、俺は先生と当たることはなかった。
先生は誰と勝負して負けたんだろう。
気になる。
なんか、イライラする。
そんな気持ちとは裏腹に俺は気づけば決勝戦まできてしまっていた。
なんで俺が。
決勝の相手は男子の間でも可愛いと有名な女子。
俺たち2人を囲んで、みんなが見ているから、それがすごいイヤだった。
先生も見てるのかな。
見られてたらイヤだな。
なんて思っていた。
最初に俺が「愛してる」って言う。
相手の女子は表情一つ変えないで、さすが決勝にくるだけあるなって思った。
「里巳くん、愛してる」
名前まで入れてきて。
本気で勝ちに来ているような気がして、俺もちょっとだけ負けるのがイヤだなって思った。
「俺も愛してる」
「もう一回」
「愛してる」
「私も愛してる」
「俺も愛してる」
俺が愛してるって言う度に、周りの歓声がいちいち大きくて。
相手の女子が言うと、今度は野郎の声がこだまして。
両者どっちも引かない戦いが続いた。
俺も全然照れないし、相手も無表情を貫いている。
こんなゲームずっとやっててもしょうがない。
早く終わらせたかった俺は、相手の頬に手をそっと添えて、思いっきり顔を近づけた。
きゃーと歓声が上がる。
静かになるまでずっと目を見て。
「愛してる」
そう言うと相手の女子は堪えきれなかったように顔を両手で塞いだ。
「里巳くんの勝利!」
そう言われた瞬間に、勝ってしまった自分に後悔した。
あーあ、なんで意地になっちゃったんだろう。
あんまり目立つ事はしたくなかったのに。
終わってすぐに顔を上げれば、先生の姿が目に映って。
俺を見てとびっきりの笑顔で拍手をしていた。
なんなんだよ…。
先生は笑ってるのに。
俺のイライラはなぜか募る一方だった。
愛してるゲーム、とかいうふざけたゲーム。
どこのクラスだ、こんなくだらないゲームを差し込んできたのは。
よく先生も許可出したよな。
愛してるゲームとは、2人組になって順番に愛してるって言い合い、照れたり笑った方が負けっていうゲームらしい。
トーナメント形式で、最後に残った人が優勝。
俺は早めに離脱したかったのに、あんまり照れるというリアクションができないみたいで。
というか相手の女子が照れるのが早すぎて、結構いいところまで勝ち進んでしまった。
俺が「あ…」と言いかけた時点で「もうムリ―!」と照れてしまう女子。
いや、まだ何も言ってない。
はぁ、とため息をつきながら隣を見たら、加ヶ梨先生が男子生徒に「愛してる」って言ってて。
なんか、
見ていられなかった。
なんなんだよ、このゲーム。
くだらない。
てか、なんで先生までやってんだよ。
こんなゲームまで混ざらなくていいよ。
先生と勝負していた男子生徒は「ごちそうさまでーす!」とか言ってて、胸ぐらを掴んでやりたい気持ちになった。
先生は途中で負けていたらしくて、俺は先生と当たることはなかった。
先生は誰と勝負して負けたんだろう。
気になる。
なんか、イライラする。
そんな気持ちとは裏腹に俺は気づけば決勝戦まできてしまっていた。
なんで俺が。
決勝の相手は男子の間でも可愛いと有名な女子。
俺たち2人を囲んで、みんなが見ているから、それがすごいイヤだった。
先生も見てるのかな。
見られてたらイヤだな。
なんて思っていた。
最初に俺が「愛してる」って言う。
相手の女子は表情一つ変えないで、さすが決勝にくるだけあるなって思った。
「里巳くん、愛してる」
名前まで入れてきて。
本気で勝ちに来ているような気がして、俺もちょっとだけ負けるのがイヤだなって思った。
「俺も愛してる」
「もう一回」
「愛してる」
「私も愛してる」
「俺も愛してる」
俺が愛してるって言う度に、周りの歓声がいちいち大きくて。
相手の女子が言うと、今度は野郎の声がこだまして。
両者どっちも引かない戦いが続いた。
俺も全然照れないし、相手も無表情を貫いている。
こんなゲームずっとやっててもしょうがない。
早く終わらせたかった俺は、相手の頬に手をそっと添えて、思いっきり顔を近づけた。
きゃーと歓声が上がる。
静かになるまでずっと目を見て。
「愛してる」
そう言うと相手の女子は堪えきれなかったように顔を両手で塞いだ。
「里巳くんの勝利!」
そう言われた瞬間に、勝ってしまった自分に後悔した。
あーあ、なんで意地になっちゃったんだろう。
あんまり目立つ事はしたくなかったのに。
終わってすぐに顔を上げれば、先生の姿が目に映って。
俺を見てとびっきりの笑顔で拍手をしていた。
なんなんだよ…。
先生は笑ってるのに。
俺のイライラはなぜか募る一方だった。
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