日常+α [第一巻]

いたち。

普通+α

朝8:00。
朝起きる。僅か2mm程度に開いた目でカーテン越しに光が溢れた太陽と目を合わせる。目覚めの水を一杯。顔を洗い、寝癖を直す。結果的に制服を着る時にぐちゃぐちゃになるとも水一杯分で働いている頭じゃ考えようもない。パンを指紋がつくくらいの勢いでとり、トースターに向かって投げる。勿論入らない。124回目のチャンスを逃す男、、、なんとも言えん。このわずかな時間さえも無駄にできん!スマホを布団近くから取り出し、ログインボーナス目掛けてまっしぐら。ゲーム「ナーギルアイ」は夢中になるほど面白い訳でもなく、とくといった特徴がある訳でもない。ただモンスターと戦ってレベル上げるシンプルイズベストの頂点に立ったような普通すぎるゲーム。何故こんなのにハマっているのか?
自分でもよくわからないが、多分普通すぎるというところに自分と重なるところがあるんだろうと解析している間にトースターの音がなる。即座にパンを救出し、冷蔵庫からマーガリンを取り出す。んで食べる。
こんな日常がもう1年ほど続いていると思うと自分でも笑えてくる。少しも刺激のない俺の人生は、アニメの対義語と広辞苑に載ってもいいくらいな程である。
男子高校生活2年目にして彼女なし、
成績も普通。友達も少しかいる。
日々が退屈すぎるあまり、いつもアニメとゲームの世界に逃げるのみ。
親は北海道にいて、中学校の時友達のいなさと退屈すぎて、やることが勉強しかなかったので頭はよく、運良く東京の高校に入ることができた。今度は友達もつくり、
あわよくば彼女、クラスの中心人物!
的なことを考えて軽すぎる気持ちでここに来たはいいが、友達は1.2人まぁ増えた方だ
。彼女なし、スクールカースト最下位、
もしくは下から1.2番目。まぁでも向こうにいるよりは100億倍いい。何故北海道で
別の高校を探さなかったかというと、
僕はアニオタ中のアニオタ。
秋葉原と同じ都内に入れていつでもいける
なんて夢のようなことがあると考えてたら
あの日の僕はどんなことでもするという
勢いだった。親を十生分のお願いと頼み、
夢を叶えることができた。
それからというのは休日になればアキバへ
go!勉強はそっちのけ。という生活が1年
まずやってみて、期待とはかなり違った
現状に自分でも幻滅。しかし、これから
急に異空間に転送されたり、
急に魔法が使えるようになるのであろう
と未だに期待を心の先頭から2番目くらいのところに置いておいて、
今日も学校。
1年の時にできた友達も2年になった途端
離れてしまい。クラスではぼっち。
後ろにプリント回すのも気まずい。
他の人の邪魔にならないようになるべく
気配は消してある。これも超能力なのか。
んなことを考えて、今日の授業が終わる。
話が変わるが、彼女がいないからといって
別に女子に興味がない訳ではない。
今気になってるのは僕の斜め前の
長谷川さん。しかしクラスでもかなり人気があり、僕よりも全体的に良い男子たちが
何度もアプローチをしているようだが、
ガードは固い。難攻不落で有名だ。
僕に関してはキッカケもクソもない。
しかし!明日は長谷川さんの誕生日!
ここでやらなきゃ一生後悔する!
ということで、クラスのグループライン
にも入れてない僕が、この難攻不落さんの
LINEを聞き出すという未来が見えてることに挑戦しようとしてる。今日は眠れない。
僕がこの一ヶ月で考え抜いた
[第一回長谷川さんのLINE聞き出そう作戦]
を実行する。内容はこうだ。
朝、学校に早くいき、長谷川さんが来たら
話しかけ、今日の放課後、美術室で待ってる。という。単純だが、これしかない。
次の日、早く学校には来れた。しかし!
ハプニング発生。僕と同じ考えのやつが
たくさんいて、僕より早く長谷川さんに
手紙、花まで渡す奴もいた。
こうしてタイミングをなくした僕は
人生で一番の屈辱を味わった。
しかし、一か八か!ということで、
靴を履いているとこに話をかけた。
「あ、あの、、、」
気づいてくれたようだ
「あー。あんたもなんか持ってきてくれたの?まぁ貰っとくよ」
思ったよりも冷たい
「い、いやLINEってやってる?」
言えた!
「LINE?やってるけど、、、、まさか私と交換したいって訳?」
「そ、そうだけど、、、」
ん?何か変なことを言ったかな、、、
「私がいうのも何だけどね、、今まで私にLINE求めてくるやつなんていなかったわよ。暗黙の了解的なのがあったらしいけど、、、、」
な、な、なに?!友達付き合いがないから
まったく噂も聞いてなかった、、、
「そ、そうだったんだ。ごめんね。変なこと言っちゃって、忘れて、、、」
やってしまったー、走って逃げよう。
「ちょっと待ちなさいよ」
彼女がそういうと
「あんたの度胸に免じて交換してあげるわ
誰にも言わないでね、」
な、なんだって?!この瞬間奇跡が起きた。東京にきた甲斐があったと初めて思えた。


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