彼女たちを守るために俺は死ぬことにした

アサミカナエ

10/30(金) 日野 苺⑧

 
┛┛┛



「しつれいします。先生、知ちゃんのお母さん来ました」
「先生すみません。息子がいつもお世話になっております」
「お疲れさまです。小鳥遊くん、そちらのベッドで寝ていますよ。お待ちくださいね。小鳥遊くんー」


 保健の先生がベッドのカーテンを開けて、「あらっ」と声を上げた。
 さっちんと一緒に覗いた瞬間、目に入ってきた光景が、頭を木槌で殴られたように、理解が追いつかなかった。

 ベッドサイドの椅子に座って、知ちゃんのベッドに日野さんが伏せっていた。
 そんな日野さんの左手を、知ちゃんが両手で包んでいて、ふたりはおでこを付き合わせるようにして眠っていた。


「あらまあ……」


 あたしが声をあげる前にさっちんが、困ったようにつぶやいた。


「日野さん、いつからいたのかしら、気づかなかったわ。ちょっと二人とも! 起きなさいー!」


 先生が声をかけるけど、あたしはここにいたらダメな気がして。


「もう行くね!」


 さっちんに伝えて、急いで保健室から出た。

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品