彼女たちを守るために俺は死ぬことにした

アサミカナエ

10/1(木) 穂積音和①


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 帰宅して着替えると、そのままベッドに倒れ込んだ。身体も意識もゆっくりと沈んでいく。体力が擦り切れるギリギリだったのだろう。
 まどろみに身を任せていると、コンコンというドアのノックで意識が引き戻された。
 気づくと部屋の電気が消えていたから、少しばかり眠っていたらしい。

 部屋の外にいるのは誰だろう。
 体が重い。普段の1.5倍の重力を感じながら、ゆっくりと頭を起こした。


「はいー」


 やっとのことで声を出すと、恐る恐るというようにドアが開き、リビングの光が差し込んできた。
 半分開いたドアの向こう側で顔をのぞかせた人物は、逆光だったけれどシルエットですぐにわかった。


「ああ音和か。どしたー」


 一応体を起こしてベッドに座る。キーンと耳鳴りのようなものが鳴って、頭を抑えて少し目をつむった。
 音和は俯いたまま、ゆっくりと後手でドアを閉めた。
 光が消えて、街頭と月明かりだけが部屋の中をぼんやりと映す。


「いま何時か知らんけど、明日起きれるのか?」

「うん……」


 電気もつけず、ちょこちょこと歩いて目の前に立った。ぎゅっと唇を閉じ、ゆっくりと肩で息をしていた。


「……なんかあった?」


 ただ事ではない悲痛な表情に、胸騒ぎを覚える。
 また学校でなにかされたのだろうか。いや、野中は朝から様子がおかしかったって言ってたし、家……おじさんとのことか?
 色々と考えながら、静かに音和の言葉を待つ。
 そして、震えながらゆっくりと口を開く音和の声が、胸に突き刺さった。


「知ちゃん……死ぬの?」

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