彼女たちを守るために俺は死ぬことにした

アサミカナエ

9/7(月) 穂積音和②

 ┛┛┛



 二学期に入って変化したことのひとつ。
 先週、外はどうにもまだ暑すぎたので、昼休みは虎蛇に集まることにした。


「ねーねー聞くの忘れてたけど、朝のやつ、なんなのあれ」


 変化したことのふたつ目。七瀬も一緒に弁当を食べるようになった。


「ずいぶんと目立っていらっしゃいましたね。でも朝からみなさんの顔が見られると、元気が出ます♡」


 詩織先輩が頬に手を当てて小首を傾げ、可愛い顔をしている。


「ん……。知ちゃんとお昼ごはんを毎日一緒に食べるための試練」

「ふーんそっかー! よく分かんないけど、えらいじゃんほづみん!!」


 七瀬が音和の頭をがしがしと撫でていた。たぶんホントに分かってないやつだなこれ。


「チュン太、プリントありがとう。印刷してクラスと部活動に配っておいて。期日が漏れていたから追加しておいたから」


 パソコンから目を離さず凛々姉が言う。
 横に置いてある小さな弁当箱の中身は、あまり減っていないようだった。

 ふと彼女の後ろのホワイトボードの端にあるカレンダーを見ると、赤い丸で囲まれた数字の下に大きく「朝陽祭!」と書かれている。その日がそう遠くないのがひと目で分かった。

 いちごは詩織先輩と雑誌を見ながら話してる。野中は扇風機のそばでお休みタイムだし、七瀬は音和に絡んでる。100点にのどかな昼下がりだ。


「まーまー、そんな眉間にしわを寄せずに。まだ始まったばかりなんだし!」


 ひとり怖い顔をしている凛々姉に、のんびりと声をかけた。


「そうよね……」

「ほら、美人がだいなしってやつだ」

「そうよね……」


 心ここにあらずの凛々姉がちょっと心配だった。

コメント

コメントを書く

「学園」の人気作品

書籍化作品