転生までが長すぎる!
天使様にキャリア相談 2
女性、年齢、地雷原。
連想ゲームを打ち切り、話を戻す。
「とにかくアレだ、俺としては血反吐まき散らしてまで転生に拘る理由はないんだよ。今の状況が続くくらいなら、大人しく天国に行った方がマシだ」
「仕方ありませんね。わたしにはあなたをここに導いた責任があります」
「導いたというか、詐欺られたというか」
「黙らっしゃい。仕方ないので、やる気の出そうな情報をいくつか差し上げましょう」
「労働者のモチベを上げるのは大変だぞ。一流の社畜はやる気と生産性の連鎖を断ち切った者だが」
「何のプライドですか」
半眼で突っ込んでから、天使が続けた。
「まずは定番ですね。転生時にはいわゆるチートアイテムを選ばせて差し上げましょう」
「聖剣とか魔剣とか?」
「ええ。戦闘系から知識の補助まで何でもありです。在庫があれば」
「在庫。聖剣の在庫……」
「次。今のあなた方には、肉体という枷がありません。だから、鍛えれば鍛えるほど、運動性能は向上します。筋肉ではなく、魂を鍛えているというわけです」
「分かるような分からないような」
「まあ、詳しい理屈はどうでもいいです。大事なのは肉体に縛られていないということ。ここで訓練を受ける限り、あなたたちの身体能力は限界を超えて向上しますし、いずれは特別な力に目覚めることもあるでしょう」
「特別な力?」
「まあ、超能力みたいなものです。誰しも一つくらいは才能があるものですからね。それがこう、魔力で具現化して、良い感じに覚醒します」
「天使さん説明が微妙に雑だよね」
「では最後に、専門分野の話を詳しく」
何だろう。
この天使の専門分野、という言葉だけで嫌な予感がする。
「天国に行った後、魂がどうなるか、ご存知ですか?」
「いや、存じ上げないけど」
「あそこは肉体を失った魂の行き着く先。リサイクル工場みたいなものです」
「言い方」
「死者の魂は、そこでひたすら転生の順番が来るまで待ち続けます。下手すると数百年単位で。まあ、体がないので欲求も乏しいですし、特に苦しみはありませんけど。楽しくもないでしょうが」
「なんかイヤだな」
「そして、来世で何になるかは運次第です。基本的にランダムなので、また人間になることもあれば、ゴブリンに生まれ変わることもあります」
「まあ、そこは仕方ないだろ」
「――というのは建前で、実際には神様が自由気ままに選んでるんですよね、これが」
ほう。
嫌な予感が的中しそうだ。
「あなた方の受けている訓練は、転生者死に過ぎ問題を解決すべく、ここの神が発案したものです。折角、自分が用意してやった転生への道を蹴って、楽な方に逃げたとなれば、神様の面目丸潰れだと思いません?」
「おい、まさか」
「来世がゴキブリとか……やですよね?」
「脅しじゃねぇか!」
清々しいほどの脅迫だ。
やっぱりコイツ、天使じゃなくて悪魔だろ。
「やる気になりました?」
「おかげさまで!」
限界まで追い詰める。
それが労働者を働かせるコツだと、どこぞのブラック企業経営者が言っていた。
連想ゲームを打ち切り、話を戻す。
「とにかくアレだ、俺としては血反吐まき散らしてまで転生に拘る理由はないんだよ。今の状況が続くくらいなら、大人しく天国に行った方がマシだ」
「仕方ありませんね。わたしにはあなたをここに導いた責任があります」
「導いたというか、詐欺られたというか」
「黙らっしゃい。仕方ないので、やる気の出そうな情報をいくつか差し上げましょう」
「労働者のモチベを上げるのは大変だぞ。一流の社畜はやる気と生産性の連鎖を断ち切った者だが」
「何のプライドですか」
半眼で突っ込んでから、天使が続けた。
「まずは定番ですね。転生時にはいわゆるチートアイテムを選ばせて差し上げましょう」
「聖剣とか魔剣とか?」
「ええ。戦闘系から知識の補助まで何でもありです。在庫があれば」
「在庫。聖剣の在庫……」
「次。今のあなた方には、肉体という枷がありません。だから、鍛えれば鍛えるほど、運動性能は向上します。筋肉ではなく、魂を鍛えているというわけです」
「分かるような分からないような」
「まあ、詳しい理屈はどうでもいいです。大事なのは肉体に縛られていないということ。ここで訓練を受ける限り、あなたたちの身体能力は限界を超えて向上しますし、いずれは特別な力に目覚めることもあるでしょう」
「特別な力?」
「まあ、超能力みたいなものです。誰しも一つくらいは才能があるものですからね。それがこう、魔力で具現化して、良い感じに覚醒します」
「天使さん説明が微妙に雑だよね」
「では最後に、専門分野の話を詳しく」
何だろう。
この天使の専門分野、という言葉だけで嫌な予感がする。
「天国に行った後、魂がどうなるか、ご存知ですか?」
「いや、存じ上げないけど」
「あそこは肉体を失った魂の行き着く先。リサイクル工場みたいなものです」
「言い方」
「死者の魂は、そこでひたすら転生の順番が来るまで待ち続けます。下手すると数百年単位で。まあ、体がないので欲求も乏しいですし、特に苦しみはありませんけど。楽しくもないでしょうが」
「なんかイヤだな」
「そして、来世で何になるかは運次第です。基本的にランダムなので、また人間になることもあれば、ゴブリンに生まれ変わることもあります」
「まあ、そこは仕方ないだろ」
「――というのは建前で、実際には神様が自由気ままに選んでるんですよね、これが」
ほう。
嫌な予感が的中しそうだ。
「あなた方の受けている訓練は、転生者死に過ぎ問題を解決すべく、ここの神が発案したものです。折角、自分が用意してやった転生への道を蹴って、楽な方に逃げたとなれば、神様の面目丸潰れだと思いません?」
「おい、まさか」
「来世がゴキブリとか……やですよね?」
「脅しじゃねぇか!」
清々しいほどの脅迫だ。
やっぱりコイツ、天使じゃなくて悪魔だろ。
「やる気になりました?」
「おかげさまで!」
限界まで追い詰める。
それが労働者を働かせるコツだと、どこぞのブラック企業経営者が言っていた。
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