暗殺者の欲望

カキ

捜索

 その銀髪のイケメン少年はアナトと名乗った。
 彼はとても優しい性格をしており、私もさすがに赤面してしまう爽やかな表情をしていた。
「なんでマジョリカさんは【勝負欲】を探しているんですか?」
 私達は石畳の市場を歩いていた。
 先ほどのギルドから数歩進んだ市場に来ていた。
 彼は私を緊張させないように振る舞えっていいた。
「女性と探せるなんて運がいいなー! 僕なんて職業柄、人と一緒に歩くなんてほとんどないんですよー!」
 彼とはとても話しやすくたまに出る爽やかスマイルが私の顔を更に赤らめた。
 今まで盗賊をしてきてゴツイ男達に囲まれて生きて来た私はこんなにまぶしい笑顔に対して目を背けてしまった。


「普段はなにをされてるんです?」
 私はこの慣れない緊張感に耐えきれなくなっていつもとは違う口調で彼の生活を聞いた。
「僕は旅する宝石商人です。」
 アナトは職業話になったから自信を持ったのか自信満々にポケットから宝石を取り出した。
 取り出した宝石のルビーは今まで見たことのない血のように赤い色で輝きを見せていた。
「キレイ、ですね。」
 私は思わず息を飲みその宝石に見とれてしまった。
 アナトは私が宝石を気に入った事を察してそのルビーを渡そうとした。
「えっとその、くれるの?」
 職業病なのだろう笑顔で宝石をサービスしてくれる精神とサービススマイルを無意識に出している事気付いてなかったらしい。
 彼は即座に気づいて慌てて商売魂をかくした。
「いや! その! これはお近づきの印に受け取ってください!」
 アナトは私の手にルビーを渡し少しだけ距離を取った。
「本当に貰っていいんですか?」
 彼は「はい」と言う意味で優しい笑顔で答えた。
「ルビーには情熱と言う意味があります。あなたのような元気な方にはとっても良く似合ってると思いますよ。」
 「よく知ってるなー」と思いながら聞いていた。
「なんでそこまで知ってるんですか?」
「商売柄こんな話しばっかなんですよ。」
 元気はつらつに話している姿を客観的に気づいたのか照れながら話しを止めた。
「まぁこのまま市場の賭博場に探しに行きましょう。」
 それから3時間、町中の賭博場を探しに探した、アナトのお得意様から聞いた裏道の賭博場も探した。
 しかしなかなか【勝負欲】は見つからず気付いたら辺りがオレンジになっていた。
「やっぱり空想上の人物なんですかね[欲]なんて。期待するにも無理が会ったんですよ。」
 私は諦めてかけていた。
 欲のまみれた場所に多く入ってしまった事でそれに強い私でも疲れが見えていた。
「それでも唯一の手がかりの赤い髪とライターなんてどこにもいるわよね。」
 ため息をつきながらベンチに座った。
「あともう少し探そうよ! 僕も頑張るからさ!」
 そう言いかけた所でアナトは顔を隠そうとした。
 そこにいたのは隣の国の軍隊「ロード」だった。
 目的のためならどんな奴も捕まえる最悪最低な軍隊である。
「なんで隣の国のやつがいるのよ。 」
 私は嫌悪感をだしながら呟いた。
 そうすると私の視線に気がついたのかそいつらが近づいて来た。
「なにか用か?」
 兵隊には太った大きな奴と小柄な奴が偉そうに聞いてきた。
 私達は笑顔で「なにも」と答えた。
 しかしそれで終わる奴らではなかったそれからもっと情報を聞き出そうとしてきた。
「そうかお前ら【勝負欲】を知らないか? 知ってたら教えろ。」
 小さな兵隊はおどろおどろしい目をしていてとても不快だった。
「なにも知りません。私達はデート中なのですいませが、、、」
 私はその場を急いで後にしようとしてアナトの腕を掴んだが、私の逆の腕がを捕まれた。
「さっさと教えろこちらは急いでいるんだ。さっさとお前達は答えるだけでいいんだ。」
 今度は大きな大きな兵隊が私に尋問してきた。
 その理不尽が頭にきて口調が、いつもの口調になってしまった。
「なにも知らないって言ってるでしょ! 」
「なんだその口のききかたは! 」
 兵隊は声を張り上げて尋問を荒くした。
 とうとう私の態度に腹が立ったのか手を上げてきた。
 しかしロード軍が私に手を上げようとしたその腕は止められた。
 アナトが優しい笑顔で振り上げられた腕を掴んでいた。
 それは平和的に解決しようとする心がけが彼にはあった。
 しかし限界だった私の足が軍人の顔を捉えた。
 兵隊の顔に足がめり込み強い衝撃をおこした。




 


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