ちちぶ天狗

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居心地のいい家族の話【北村・シオ・トモ・ザビ・ユリ・北村一家】

北村はよく怪我をしていた。
なぜかというと他校の生徒と喧嘩をしてやられたり、同じ高校の先輩とも喧嘩していたからだ。
北村は、仲間以外には常に喧嘩ごしの口調なので、もめ事ばかり起こしていた。
生徒だけでなくバスの運転手に殴られていた事もある。
逆上した運転手を小島が止めなければ北村は殺される勢いだった。

そんな北島には、中学の時から付き合っている幼なじみのシオちゃんという彼女がいるらしい。
北村にしては面白くないギャグだと小島は思っていたのだけれど、ある日「兄やん、彼女紹介したいんだけど…」と北村に言われた。
小島が指定されたファミレスへ行くと142センチの小柄な体型にショートカットがよく似合う可愛い女の子がいた。
その子がシオちゃんだった。
小島は「ん?まじで彼女いたん?!」と思った。
シオちゃんは、「はじめましてシオと言います。」とぺこりと頭を下げた。
小島は「ん?何でこんなちゃんとした子が北村と…」と思ってしまった。
それからシオちゃんは「カズから小島さんのことは、よく話し聞いてます。」と言った。
小島は「ん?カズ?誰?」と思った。
この時、北村の下の名前がカズトシという事を小島は初めて知る。

小島は、シオちゃんと仲良くしたいとは思ったものの、その前に確かめなければならないことがあった。
いくら北村の彼女とはいえ、小島の試験にパスしなければ仲良くできない。
敬語や礼儀正しさよりもっと重要なことだ。
その試験を兼ねて小島はシオちゃんにこんな話をした。

「俺が中学3年生の時の話なんだけど、部活も最後の大会が終わって引退していたから、学校が終わると友達たちと夜になるまで遊んでてさ。
学校近くに結構大きめの駐車場があって、そこで友達6人くらいでスケボーで遊んでいたら、同級生の女子4人が来たんよ。
その女子の中にユリちゃんっていう顔は決して可愛くなかったけど、エッチでノリが良い子がいてさ。
俺の友達の中にザビと呼ばれるフランシスコ・ザビエル似の奴がいて、そいつがユリちゃんに「あそこの縁石を飛び越えたらキスしてくれる?」と言い出したわけ。
簡単に説明すると駐車場にある車止めの縁石をスケボーの初歩の技ウォーリーで飛び越えたらって事なんだけど、普通なら何言ってるの?って言われる話しなのに、ユリちゃんは「いいよ」って答えたわけ。
そしてザビは縁石を飛び越えて、みんなの前でユリちゃんとキスをしたんだよね。
それを見たトモという俺の友達が「ユリちゃん!俺もチャレンジしていい!?」と便乗してさ。
ユリちゃんも大概アホなので「いいよ♪」とまた答えた。
トモは飛び越える事が出来なかったに…なぜかユリちゃんとキスをしてた。
そのあとトモが「次は小島ちゃんでしょ?やってみてよ!」と言われてさ。
ユリちゃんとのキスには全く興味なかったけど、やってみることにした。
俺は付き合い程度でスケボーをしてただけだから、正直飛びこえる事は出来ない…
それに失敗はトモがすでにやっている…
違うボケをしなければと思ったけど…いいボケも思い付かないままスケボーを走らせて、どうしよ、どうしよと考えてるうちに、縁石が近づいてきて、スケボーだけそのまま残して俺だけが上にジャンプするというつまんないボケになってしまったけど…笑いの神は俺を見放さなかった。
ジャンプした瞬間に履いていたチノパンのケツの部分が派手に破けてくれた。
これにはみんな大爆笑で、俺は一番いい感じになったと思ってとホッとしたわけ。
とどめに女子達に近づいて破けた部分を拡げて見せて「見て!破けちゃった!」とおどけてみせた瞬間、女子が一斉に「キャー!!!」と言って目を反らした。
パンツくらいでそんな反応?って思ってケツを触ってみたら、チノパンと一緒にトランクスも破けてて、俺は女子にアナルを拡げて見せていた…
という初めて女の子にアナルを見られた話しでした(笑)」

この話をドン引きすることなく笑って聞いていたシオちゃんを確認した小島は、心の中で「合格」のハンコを押した。
そんなわけで、3人で何度もカラオケ行ったりボーリング行ったりとよく遊んだ。

小島は、北村の彼女だけでなく北村の家族とも仲良くなっていく。
北村が小島の家に遊びに来ることもあったけれど、小島が北村の家へ遊びに行く方が多かった。
北村の家族は、毎回笑いをこらえるのが大変なくらい北村と顔がそっくりの父親と、いつもニコニコしている感じいい母親と、まだ幼い妹がいた。
妹は「コジマさん、コジマさん」と小島になついてよく遊んであげた。
そして北村の家で晩御飯をごちそうになることが何度もあった。
というのもニコニコしてる北村の母親が「食べてって♪小島君♪」攻撃が半端なかったからだ。
そんなわけで北村は無茶苦茶な奴だけれど、小島にとってシオちゃんもひっくるめて居心地のいい家族が北村家だった。

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