Jack of all trades ~主人公ポジションを奪います~

フランク 相川

第三十三話 終戦

今の俺は命なんて関係なく、ただ大切な人を守るという使命感だけで動くまさに機械のようになっていた。

からすの群れを魔法語英語でなんていうか知っているか?MURDER虐殺だ」
「あ、あなたは……」

すまないな恵奈賀、遅くなった。
だが今俺の正体を明かすと混乱するだろう。
どうせ俺は死んだ人間だろうし。

「恵奈賀さん!大丈夫か?」
「だれ?」

急に黒髪の目つきが悪い男がやって来た。
まさかこいつ……!

「俺だ、田村悠人だ。大丈夫か?」
「え、えぇ、大丈夫……です」

ちゃっかり一人称が俺になっている。
そんなことを考えていると巨大な咆哮と共に大きな龍が現れた。
ワイバーンというやつだろう。

「おい、そこの冒険者。武器はなんだ?」
「俺は魔導士だ。魔法を使う」
「ではあっちに魔物の大群が集まっている。そっちに行け」
「わかった。みんな行くぞ!」

そういって悠人は女の子4人と一緒に魔物の大群に突っ込んだ。
あれがハーレムというやつか。
初めて生で見たな。
そんなことを考えていると巨大な咆哮と共に大きな龍が現れた。
ワイバーンというやつだろう。

「お嬢さん、起き上がれますか?」
「はい。戦えます!」

女性の戦闘服はなぜ所々、露出しているのだろう?
武器は、お、俺の考えたやつを使ってくれている。
恥ずかしいな。

俺たちが武器を構えるとワイバーンがそれに反応し、威嚇してきた。

ワイバーンがブレスを吐いてくる。
俺はまだ起き上がれていない恵奈賀を抱き、避けた。
その時、翼から羽根が落ちるのが見えた。
これ、使えるのではないか?

俺は恵奈賀の方を見ると二人で頷いた。
俺はワイバーンの方に走ってゆき、跳んだがまだ頭には届かないためもう一回跳んだ。
俺は自分の翼を勢いよく広げ、鉄でできた羽をワイバーンの眼に向って放った。
すかさず恵奈賀がワイバーンの足元に行き、脚を切った。

だが羽根は目には当たらなかった。
ワイバーンは飛び始め、ブレスの準備をした。
俺は剣をワイバーンの眉間に向って投げた。
そして回転する剣の刃に向って弾丸を放った。

弾丸は剣の刃にあたり、真っ二つに割れ、両目に銃弾が入った。

「今だ!!!」
「はぁぁぁぁぁあ!!!!」

恵奈賀がひるんだワイバーンの心臓部分に向って剣を突き出した。

大きな咆哮を出しワイバーンは倒れた。
ワイバーンが倒れた瞬間、敵がおびえはじめ撤退していった。

「大丈夫か!え……お嬢さん!」
「えぇ、大丈夫です。それよりもフォローありがとうございました」
「いえいえ、お嬢さんの剣筋もなかなかのものでした」

敵が撤退していき、我々の軍は叫んだ。
「守り抜いたぞぉぉおおお!!!」
大きな歓声が上がり皆が歓喜した。

「やりましたよ!」
「あぁ、そうだな!」
「見事な技でした!私、恵奈賀っていいます。あの、お名前をお聞きしてもよろしいですか?」

俺はマスクを外し、自己紹介した。
「どうも矢田部やたべ 谷鴉やがらすです。久しぶりだな」

その瞬間、安心したのか俺は倒れこんでしまった。
疲れていたのか、はたまた強制的にシャットダウンさせられたかだ。


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