第二十九話　レッドテール

俺は今、龍の姿になったニグリオスさんの上にまたがっている。
風が吹き、耳元で轟音が鳴り響いている。

「今から君にあげた能力を説明する！お前にあげた能力はレッドテールっていうものだ！」

服装はゴードンさんからもらったあのトレンチコートに戦闘用の正装服を一式くれた。
すべて魔法のエンチャントによってバフ効果がある。
おまけで剣をもらった。そこそこいいものらしい。
帽子が飛んでいかないか心配である。

「その能力の効果は五感を鋭くさせるものだ！」

オルム王国に行く前、クトゥルフ様とプルプラさんにあるものをもらった。
ベッラパーチェで活躍した人に贈られるものとして、赤い羽根が贈られた。

「だが、それだけではない！僕の能力とアルバの能力は相性がいい！」

ニグリオスさんがそういった直後、俺の脳内でアナウンスがなった。

『システムのアップデート、ベッラパーチェの眷族。
　アクセス完了　
　今から谷鴉さんの能力がアップデートされます。
　アップデートを開始……完了しました。
　システムに異常なし。アップデート完全完了
　能力　落下ダメージ無効　鋼の翼フェローアリス　鉛の尾レッドテール
　【注意】脳へのダメージが高くなる可能性があります。』

そしてイビスさんとシグレさんからは仮面をもらった。
なんでも元々スピルトゥス帝国の軍の最高指導者にはこの仮面が渡されるらしい。

（ペストマスク……ですか？）
（この仮面はきっと貴方を守ってくれます。どうかご武運を）

マスクをつけた瞬間またあの無機質な声が流れ出した。

『仮面をかぶったことにより視界が狭まりました。
　それにより自動視覚調整システムが作動します。
　仮面とのリンクを開始……完了しました』

視界が完全に暗くなったかと思いきや、視界にパズルピースがどんどんはめられていき、裸眼のような視界になった。

「そういえばその機械は何だ？なんか作っていたけど」
「相手の通信機をハックするものだよ」
「あぁ、うん。わからん！」

下を見ると大きな城が見えた。オルム王国だ。

「いいか、僕は魔王のところに行ってくる。どうか死なないでくれよ！」

”ジャックオブオールトレーズ”起動
データベースにアクセス　
ファイル名　剣士
能力の同時発動を開始
能力　落下ダメージ無効　鋼の翼フェローアリス　鉛の尾レッドテール
目標　悠人の手伝い、恵奈賀の保護！
『アクセス完了　ご武運を』

その言葉と同時に俺はその黒き龍から落ちたのだった。