Jack of all trades ~主人公ポジションを奪います~

フランク 相川

第二十八話 二重眷族

結婚式も終わり、今俺は二日酔い状態になっている。

「うぇぇ、気持ち悪い」
「飲みすぎたんですよ。まったくご主人様は」

おぇぇ、いあいあくとぅるふふたぐん

「そうだヤガラス君、君に授けたいものがある。こっちにきてくれ」
「あ、後にしてくれないか。今は気持ち悪いんだ」

さすがに今動いてしまうとキラキラしてしまう。

「仕方ありません、失礼します。ugwδu noh da alsウグワウ ノウ ダ アルス

彼がそう言うと急に眠気が襲って来た。
どうやら今のは魔法の呪文らしい。何語だよ。
そんなことを考えながら俺の視界は暗くなった。

「やぁ谷鴉くん!久しぶりだね」
「お久しぶりです、アレクサンダーさん」
またこの空間だ。久しぶりだ。
「心配したんですよ、2カ月もあなたの意識がなかったのですから」

二カ月?一カ月ではなくどうやら俺は二カ月間眠っていたらしい。
もしくは今ニグリオスさんからかけられた魔法でもしかしたらもう一カ月間眠らされているのだろうか。

「まぁ、無事で何よりだ」
「そうだ!悠人は今どうしているんですか?」
「大丈夫だ。彼は今は無事だ」

良かった。悠人は無事だった。

「今彼はどのような状態なんですか?」
「性格が変わって荒っぽくなっているよ。いわゆる闇落ちってやつだね。武器は銃と短剣一つ。女
子三人とパーティーを組んでいるよ」

うわー、ついにハーレムになったか。

「君のミッション終了まであともう少しだ。結婚すればミッションクリアってことにしているから」
「なるほど、そういえば今って何日ですか?えっと君たちで言うと君たちが来て三ヶ月ってところかな?」
「三ヶ月……あれ、開戦っていつだっけ?」
「いつでしょう?」

ま、まさか!
ひい、ふう、みい、よお……

「おい、アレクサンダー!今すぐ俺をここから出せ!!」
「わかってるよ、さぁ行ってこい」

俺の体がバグリ始めた。
つま先から俺の体は消えていき首元まで行ったときアレクサンダーが口を開いた。

「次ぎあうときは、君がミッションを成功させてからだろう。死なないよう気をつけるんだな」

その言葉を聞いて俺の意識は薄れていった。

眩しい。
目を開けると眩しい光が差し込んできた。
苦しい!

「がはっ!」

しぶきの音と共に俺は体を起こした。
当たりを見渡すとそこは綺麗な噴水だった。
確かここは元スピルトゥス帝国の宮殿にあった中庭だ。

「起きたか、久しぶりだな」

声がした方に目を向けるとそこにはニグリオスさんが俺を見ていた。

「流石に人間には負担が大きかったかな。あの後一カ月ぐらい寝ていたからびっくりしたよ」

あぁ、そうか。俺は寝ていたのか。
そのような事を考えているときに俺はあることに気が付いた。
周りの動きに違和感を覚えた。
なぜだろう動きが遅く見えたり予測できたりと。

「驚いているようだね。僕が君に与えた能力はそれだ」

俺は急いでステータスを確認した。

矢田部やたべ  谷鴉やがらす 16歳♂
種族 人間に近い生物
職業 ジャックオブオールトレーズゼロ
HP300/300
MP0
攻撃力1000
防御力170
スキル
ワープ
称号
主人公補佐 異世界からの使者 
世界の心理を知るもの 白翼狼の眷族
鋼の翼フェローアリス
黒龍の眷族 鉛の尾レッドテール

こいつらか。
ってそんなことより!

「ニグリオスさん!今すぐ俺をオルム王国に連れて行ってくれ!」
「はい?」

このままだとあいつの命が危ない!

「早くしろぉ!」

ニグリオスさんは何かを察したのか龍の姿に変身した。

「乗れ!」



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