Jack of all trades ~主人公ポジションを奪います~

フランク 相川

第二十六.五話 おまけ

「うわぁぁぁぁぁぁぁん、なんれぇもういっちゃうのよぉ」
今俺はクトゥルフ様とプルプラさんとバーに来ている。
「ヤガラス君はどうする?」
「ではまずは、王道を行くジントニックで」
「ヤガラス君はあっちの世界では、まだ未成年だよね……」
二人には俺が異世界から来ていることを言った。
そこまで驚かされることはなく暖かく迎えてくれた。
プルプラさんはどうやらかなり息子想いで一時間ほどこの調子だ。
「はいよ」
「おっ、ありがとうございます。」
おぉ、おいしいな。
知らない人に簡単に説明するとジンに炭酸とライムをぶち込んだ感じのものだ。
「だはクトゥルフ様はこれですね」
おっ、モヒートか。いいね。
ではここでバーのルールみたいなものを雑談を交えながら話していきましょう。
実は俺の叔父がバーを経営していて、こういうのは詳しい。

【注意】あくまで谷鴉くんの意見です

「では、乾杯」
ここではカチンと鳴らさず、グラスをもって軽く会釈しよう。
話し声は大きくなければ問題ないが
「うわぁぁぁぁぁぁぁんニグちゃぁあん!マンハッタンひとつぅ!」
いきなりかよ。普通二杯目以降だろ。
まぁ、話を戻すとバーでは大抵カクテルをいくつか頼んでゆっくり楽しむものだが、
「いよいよ結婚だわ!ごっくん!サイドカー!」
「か、かしこまりました」
ああいうのは良くない。
「お前、その辺でやめておけ。酒弱いだろ」
酒弱いんかい。
おっ、飲み終わってしまった。
「マスター、ジンフィズを」
「かしこまりました」
ジンフィズはお酒が飲める人におすすめ。
だが奥が深いお酒である。
有名なものでマティーニというのもある。
これはバーテンダーの技量を見るために頼んだ。
シンプルなお酒のためバーテンダーの技量で変わってしまうものである。
うん、美味しい。
言い忘れていたが
カクテルには主に
ロングとショートの二種類がある
ロングは比較的度数が低く
逆にショートは高い。
「お客さん、初めて見る顔ですね。苦手なものってあります?」
「そうですね、基本的に大丈夫です。ちなみに食事はしていません」
「クトゥルフ様はどうします?」
「じゃ、ブラウンベルベットで」
ブラウンベルベットは生チョコのようなカクテルである。
タコのような頭でショートカクテルを飲む姿は面白いな。
なぜか可愛く見えてしまう。
ちなみにバーではしてはいけないことがある。
「プルプラさん、次はどうしますか?」
「うぅぅぅ、お、オススメで」
あれである。
お店のオススメなんて言うものはバーに存在しない。
カクテルは材料が一つ変わるだけで違うものへと変貌する。
例えば
ジンが主体となっていてもそれをバラライカにするかXYZエックスワイゼットにするかで変わる。
叔父さんはこれでかなり苦戦したらしい。
なので、
「すみません、グラスホッパーを彼女にやっておいてください」
「わかりました」
クトゥルフ様、グッジョブ!
おっと、もうこんな時間だ。
実は俺の持ち物にはあの時の買い物の残りがある。
それで会計でもしてしまおう。
もう、二時だ。
「にしてもヤガラス君はお酒に詳しいね」
「親戚にバーテンダーがいるんです」
「なるほど。じゃあ、そろそろ行くか。ほら、プルプラ行くぞ」
では、払っておきましょう。
バーでは大抵その場で払うのが多いらしい。
ここも多分そうだろう。
「あぁ、ヤガラス君は何もしなくていい。ここは我が払っておこう」
優しっ!
本当に邪神かよ。
「またお越しください」
おっと、そうだった。
「マスター、先ほどはすみませんでした。これ、チップです」
「……え、あ、ありがとうございました!」
なんで、日本にチップって根付かなかったんだろうなぁ。


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