Jack of all trades ~主人公ポジションを奪います~

フランク 相川

第二十五話 お空の旅

次の日
俺らはニグリオスさんのご両親に会うことになった。
どうやらディアーボリ国は浮島にあるらしく、魔法と工学に特化した国らしい。
いや、ギャップすごいなぁ。
ただ今の時期は日本でいう所の9月ごろだろう。初秋って感じだ。
だが、ディアーボリ国は標高3000mメートルの浮島なので寒いのである。
そこで!
「それでヤガラス様、どれにいたしますか?」
ヴルパスさんに頼み、服を頼んだ。
しかし、いろいろなものがあるんだな。
真っ赤なジャージや黒いジャケット、青いスーツなど。
ん?これは、スク水!?
「そちらはイビス様アルバの父のご趣味なのですが……」
あぁ、はい。黙っておきます。
そんな話をしているとき、俺はあるものに目がいった。
濃い緑のロングコートだった。なんだっけ、こういうのトレンチコートって言うんだっけ.
俺はそれを見た瞬間海外の伝統行事でセントパトリックスデーというのがあるのを思い出した。
「ヴルパスさん、これは……」
「そちらは確か……」
「私が説明しましょう」
む、その声は!
ゴードンさん!
「そちらはですね、私が若いころに着ていたものですね。懐かしいですね」
なんだ、爺さんのおさがりか。
てっきり、誰かすごい人の残したものかと思ったよ。
「そちらは防寒着で戦闘用の服になっておりますので、着ると暖かいですし、服の傷が勝手に修復するようになっています」
おぉ、意外とすごかった。
「では、このコートとネクタイにシャツ、ズボンにベストをお願いします。あと俺の荷物ってどうなりました?」
「大丈夫です。きちんと保管しております」
良かった、俺のm29が残っていれば怖いものはない。
「そういえば、俺ってどれぐらいの間寝てました?」
「そうですね大体、一カ月ほどでしょうか」
わ、ワンマンス。一か月か。

「とてもお似合いでございます」
一応着てみた。
動きづらいかと思っていたが実際そうでもなく、一応戦闘服なだけあってかなり動きやすい。
まるでジャージだ。
フム、何か忘れているような気がする。
「ご主人様、そろそろお時間ですので」
おっ、いよいよか。
「それにしても、どうやって行くんだ?」
「大丈夫です!私に乗ればすぐにつきますよ!」
アルバはそういうと翼の生えた狼の姿になった。
さて、乗りますか。
キャー!フカフカだぁ~。
えへっ、えへへへへへ
「どうですかご主人様、私の自慢の毛は!」
「いやぁ、き、気持ちいぃ~よ~~むふふふふ!」
いやぁ俺猫派だったけど、狼はイヌ科『ネコ目』だし問題ないよね。
「では、飛びますね。しっかりつかまっていてください!」
えへ~、ケモケモ~。
……えっ、ちょまーー
気づいたときにはもう遅かった。
アルバが言葉を言い終わった瞬間、まるでいきなりジェットコースターに乗ったような気分になった。バッサァ!!!という羽ばたく音と共に俺の視界から地面が消えた。
気が付けば俺は空を飛んでいた。
飛行機には乗っていたことはあるが、流石に見える景色に目が釘付けになった。
「風とかの影響は受けないんですよ、あなたは『私の』眷族になって翼を『私から』授かっているので『私のおかげ』で大丈夫なんですよ」
はいはい、あなたのおかげで俺は平気ですよ。
にしても絶景だな。少し息は苦しいが、そんなことはどうでもよくなってしまう。
「……恵奈賀にも見せたいな(ボソッ)」
「あら、ご主人様。なに一人でつぶやいているんですか。ムフフ」
しまった。どうやら声に出していたらしい。
いつかみんなに再会できればいいな。


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