Jack of all trades ~主人公ポジションを奪います~

フランク 相川

第二十五話 護衛

俺らは今スピルトゥス帝国の宮殿前にいる。
「お帰りなさいませ陛下!」
宮殿の門前では二人の門兵が見張っており、どちらもアルバに敬礼している。
軍服か。第二次世界大戦中のドイツ兵のような服装だ(ミリオタ発動)。
かっけぇ!
中に入ると、赤いじゅうたんがあり、豪華なランプやら絵画が廊下にあった。
どうやら
大きな扉の前に行くとアルバは脚を止めた。
「先に私とヴルパスがこの部屋に入ります。あとからご主人様を呼びますので、それまでそこで待機していてください」
「わかった」
待っている間暇だな
「おや、お客さんですかな?」
ん?執事かなにかか?
ほぅ、白い羽があるな。天使族か。
「私はこの宮殿で執事を任されているゴードンと申します。以後お見知りおきを」
やっぱり執事か。
「ヤガラスです。アルバ様の命によりついてきました」
「では皇帝陛下をお呼びします」
「いえ、結構です。アルバ様からここで待つように言われていますので」
「これは、失礼しました」
にしても、爺さんに白い翼ってギャップはあるけどかっこいいな。
「ヤガラス様、アルバ様がお呼びです」
「わかりました。失礼します」
部屋に入るとそこには豪華な家具がおいてあり、いかにも皇族の部屋といった感じだ。
目の前には四つの白い翼をもった白髪の男と、狼のような獣人が立っていた。
「お父さん、お母さん、この人が私の命の恩人、ヤガラス様です」
するとそこにいた二人が駆け寄り
「娘の命を救ってくれて本当にありがとう!」
「本当に感謝してるわ!」
おぅ、すごい熱量だ。
「申し遅れたな。私はアルバの父、イビスだ」
「そして母のシグレと申します」
おお!二人とも神々しいな
「申し遅れました。ヤガラス=ヤタベといいます。お二方に会えたことを心より御礼申し上げます」
「そう硬くならなくていい。君は娘の恩人だ」
「はぁ、わかりました」
それから30分ほどお礼を言われ、皆さんとお茶を楽しんだ。
まさかこの世界に紅茶、しかもアールグレイがあるとは。
うん、いい香りだ!
「お父さん、お母さん、二人に話したいことがあります。私、好きな人がいてその人と結婚したいと思っております」
その瞬間イビスさんのティーカップが床に落ちた。
そして泣き始めた。
「うわーん。ついにアリュバがぁぁぁぁあ!」
「あ、あなた。よかったわね。グスン」
それから小1時間ほど彼は泣いた。
その間俺はというとなにも出来ずただ紅茶を楽しんでいた。
「それで、お相手は誰なんだい?」
「ディアーボリ国の王子です」
その瞬間イビスさんのティーカップがまた床に落ちた。
まぁ、流石に睨み合っている国の王子となればびっくりもするだろう。
「……アルバ」
「は、はい」
「お前、すげえよ!一国の王子を惚れさせるとか。流石私の娘だ!」
「「へ!?」」
「アルバ、あなたすごいじゃない!これで両国のいがみ合いも終わりだわ!」
えぇー、なんか思ってたのと違う。まぁ、結果オーライか。
究極の国際結婚か。
あれ?それなら俺の出番いらなくない?
「あなた、早速準備をしなきゃ!ヤガラスさん、彼女の護衛を任せてもいいかしら?」
なるほどね。
俺はこのためか。
チラッとアルバの方を見るとアルバは写真をちらりと見せてくる。
はいはいわかりました。
やればいいんですね!
「わかりました」


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