Jack of all trades ~主人公ポジションを奪います~

フランク 相川

第二十四話 フェローアリス

外に出てみるとそこは広い庭があり振り返ると大きな和風建築の家があった。
「実はお母さんの故郷がこのような建築法らしいんですよ」
和風建築が主流なのか。自身でも起きやすいのかな。
にしてもなんだ、獣人と和風はセットなのか?
俺の読んでたラノベは大抵、和風獣人が多かったぞ。
そんなことを考えていると、ヴルパスさんが話しだした。
「そんなことよりヤガラス様を訓練しなければいけませんね」
えぇ、また訓練かよ。
「何をするんですか?」
「あなたの翼の訓練ですよ」
なるほど、いやなんで?
「とりあえず慣れておいた方がいいでしょう。さぁやりますよ」
そういうとヴルパスさんは俺と10メートル程距離を置いた。
そして両手を広げると背中から朱色の翼を出した。
おぉぉぉお!綺麗!!!
「今、あなたの中には翼があるはずです。とりあえず出してみてください」
えぇ、急にそんなこと言われても。
とりあえず俺は背中に力を入れてみた。
すると背中からブチブチと音を立てながら金属のような色をした翼が現れた
その瞬間、俺は自分の体に違和感を感じた。
なぜだか体が軽く感じる。
「えっ!
 ヤガラス様の翼、それって……」
おっ!まさか最強の翼とかかな?
「ご主人様、あなたの翼は鋼の翼、フェローアリスというものです。
 あの、非常に言いにくいのですが、一番最弱です」
へ?
さ、最弱?嘘やろ?
おい、アルバ!お前いま笑っただろ!
「ヤガラス様、その翼は翼ですが飛ぶことができません。その代わり空中でもう一度跳ぶことができます」
跳べない代わりに二段ジャンプ。
タイタ◯フォール?
「それと確かその翼は金属のような硬さなので盾代わりとして使えるはずです。ですが私も文献などでしか見たことがありませんので詳しくは……」
まぁ、それぐらいはしてもらわないとね。
とりあえず跳んでみるか。
そう思い俺は脚に力を入れると勢いよく跳んだ。
そして文字通り勢いよく跳んだ。
「えっ、えええ!」
2m程の高さを跳んだぞ!
某赤いヒゲかなにかか?
だがまずい、この高さだと脚が折れる。
「……あれ?」
普通に着地できた。
「い、痛くない」
「ご主人様の身体的数値”私のおかげで”はおよそ7倍になっています」
なるほど。単純に運動能力が7倍になっているのか。
じゃ、二段ジャンプとやらをやってみますか。
「それっ!」
まずいき勢いよく跳ぶ。そこで空中で折り返し地点に来た瞬間に空中を蹴る!
「おぉぉぉお!」
凄い高さだ4mメートルってこんなに凄いのか。
ヒーロー着地!!!
着地は少し脚が痛いなぁ。特に膝が
「どうです、ご主人様。初めて翼を使ってみた感想は」
「いやぁ、いいね!ただすごいとしか言えん」
本当に言葉が出ない。
「ではヤガラス様、戦闘訓練をしましょう」
そう言ってヴルパスさんは猛進してきた。
「ちょっ、まっ!」
「敵は待ってくれませんよ!」
戦闘か。
データベースにアクセス!
職業選択”拳闘士”!
ヴルパスさんが俺の目の前に来ると爪を立てた手を突き出してきた。
俺は避けると同時に相手の腕を両手でつかみ、相手の背後に避ける。
避けた勢いで両脚を相手の胸部の前に出し、腕を挟み込む。
そしてそのまま地面にたたき落とす!
が、ヴルパスさんの翼が一瞬光ったと同時に片方の翼の先端から炎が立つ。
すると炎の勢いでヴルパスさんの体が半回転し俺の頭が地面に向い始める。
俺はすかさずヴルパスさんの体を蹴り、相手から遠ざかる。
「い、いきなりは、ハァ、ない、だろ!」
「まさか、ヤガラス様があれほど強いとは思いませんでした。ですがまだ足りません」
するとヴルパスさんはさっきまで一つしかなかった尻尾を2本に増やし、消えた。
「ま、まさか!」
は、背後を取られた!
「これで、おしまいです」
そう言うと彼女は俺の翼に手を伸ばし……
「しまっーー!」
俺の翼をつかみ、くすぐって来た。
「ぎゃはははははははは!!!」
「どうですかヤガラス様!翼をいただくと翼には大量の神経が通るのです!くすぐったいでしょう!」
「も!もうやめてくれ!!!ぎゃはははははははは!!!」
それから俺は30分間くすぐられ、ついには感じるようになってしまった。
男としてのプライドが傷ついた瞬間だった

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