シェアハウス【完】
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『女性限定シェアハウス。家賃三万』
ネットで見つけた、たった一行の短い文。
怪しさは感じたものの、その家賃の安さに惹かれた私は記載されていた番号に電話を掛けた。
二年同棲していた彼氏と別れ、私は早急に新しい家を探さなければならなかった。
『見つかるまでゆっくりしていいよ』
そうは言われたものの、別れているのにそのまま暮らし続けるのは何だか気が引ける。
ーー電話するだけなら大丈夫。
おかしいと思ったら辞めればいいだけ。
ビクビクしながら、耳にあてた携帯から聞こえる呼び出し音に集中する。
「ーーはい」
数回鳴って繋がった電話口から聞こえたのは、穏やかで優しそうな女性の声だった。
女性の名前は中西静香さん。
大手企業で重役を務めるバリバリのキャリアウーマン。
そんな肩書きに少し臆してしまった私。
それでも、電話口から聞こえる優しい声は人当たりが良く、すぐに打ち解けた私は気付けば一時間も通話していた。
個室部屋で八畳一間の家具付き。
バストイレ別で初期費用なし光熱費込みの三万。
そんな好条件と静香さんの人柄に惹かれた私は、物件など見るまでもなく即決してしまった。
早まってしまったかな……。
やっぱり物件は見ておくべきだったかも。
後々そんな事を考えていた私は、キャリーバッグ片手に立ち止まると、やっぱり即決して良かったと思った。
「わぁ……素敵な家」
目の前にある白塗りの可愛らしい家を見て、私は瞳をキラキラと輝かせる。
六十坪程の土地に建ったその家は、全体が白を基調とされている女性らしい造りで、色とりどりのガーデニングがその周りに色を添えていた。
本当に三万で住めるのだろうか……?
そんな事を思った私は、緊張で少し震えだした指でインターホンを押した。
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