未来
いつもの日常3
今は三時間目の現代文の授業中である。
しかし美穂にとっては退屈でしかなかった。
別に苦手な訳ではない。
むしろ文章を読むのは好きだった。
美穂が現代文、国語の科目を退屈に感じたのは小学校二年生の時だ。
国語のテストで主人公の感情を選ぶ問題。
その問題の答えは悲しい気持ちで授業でもそう習った。
しかし美穂は主人公には悲しい気持ち以外にも嬉しい気持ちがあったんではないかと思い、悲しい気持ちと嬉しい気持ちを選んだ。
採点では当然のように減点。
その採点に不満を感じた美穂は先生に抗議しに行った。
そこで美穂は
「あのね、佐川さん。テストは授業中で習ったことを確認するためにやるの。
授業中に先生が言ったことだけを書けばいいの。それ以外は全部バツなの。佐川さんがどう思うかは関係ないのよ。」
と言われた。
咄嗟に美穂は
「…でもっ、考え方は人それぞれだからっ…!」
と言った。
言ってしまった。
美穂はドキッとした。
それまでニコニコしていた先生が一瞬鬱陶しそうな顔をしたのだ。
「ぁ…」
美穂は小さく声を漏らし、そこから何も言うことが出来なかった。
そこから美穂は国語という科目に魅力を感じなくなった。
無難な答えを書き続ける時間の無駄な科目だと思った。
美穂はいつも他の考えや思いを汲み取られない登場人物をかわいそうに思う。
「ごめんね。」
その日も美穂はポツリと呟いた。
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