Imaginary Online
クエスト14:『途上』
「そういえばさ」
帰り際、途端に口を開くマサ。
そこに皆の視線が集まり、マサはふと思ったことを口にした。
「俺、皆が剣を抜いているところ見たことないんだけど」
唖然とする空気。
問われた疑問に対し、皆は驚き気味に視線を交わし合うのだが、
「そういえば……」
「そうだねー」
「それじゃあ、今度……」
頬は徐々に緩み、周りの視線は一気に背後の者へと集中される。
その視線に気づいてか、そこにいたイフは自然と口を開いた。
「……ああ、今度見せてやるか」
「……?」
平然と答えたイフ。その反応に、少し違和感を覚えるマサ。
何もかもを順調に済ませているのに、そのせいなのか胸の奥に何かが引っかかっている。しこりのような、詰まりのような、そんな感覚がある。
そして不思議と、今までのことが脳裏を過ぎる。
イフたちとの出会い。仲間救出が掛かったデュエルの達成。イフの記憶探しの旅、一応の完結。
どれも問題なく進んで、終わりを迎えているというのに、心の中が少しばかり落ち着かない。
「おーいマサ、早く来いよー」
「……あ、ああ。今行く」
立ち止まっていた足。飛び交う呼び声。
俯き気味だった顔をふと見上げれば、少し離れた先で夕日に並び立つ皆がいる。
仲間がいない今、彼等の存在は悪くはないものだと、そう思いながら重たい足を上げて一歩一歩を踏みしめる。
――ただ、
この瞬間にも若干の胸騒ぎが起こっている。
けれどもそれは、自分の考えすぎなのではないかと思い、見過ごした。
それでもそこにあったのは――、
もしかしたら、もしかしたらなのだが、
この冒険はまだ、始まってすらいないのではないか。
そういう疑念だけが、残っていた――。
          
帰り際、途端に口を開くマサ。
そこに皆の視線が集まり、マサはふと思ったことを口にした。
「俺、皆が剣を抜いているところ見たことないんだけど」
唖然とする空気。
問われた疑問に対し、皆は驚き気味に視線を交わし合うのだが、
「そういえば……」
「そうだねー」
「それじゃあ、今度……」
頬は徐々に緩み、周りの視線は一気に背後の者へと集中される。
その視線に気づいてか、そこにいたイフは自然と口を開いた。
「……ああ、今度見せてやるか」
「……?」
平然と答えたイフ。その反応に、少し違和感を覚えるマサ。
何もかもを順調に済ませているのに、そのせいなのか胸の奥に何かが引っかかっている。しこりのような、詰まりのような、そんな感覚がある。
そして不思議と、今までのことが脳裏を過ぎる。
イフたちとの出会い。仲間救出が掛かったデュエルの達成。イフの記憶探しの旅、一応の完結。
どれも問題なく進んで、終わりを迎えているというのに、心の中が少しばかり落ち着かない。
「おーいマサ、早く来いよー」
「……あ、ああ。今行く」
立ち止まっていた足。飛び交う呼び声。
俯き気味だった顔をふと見上げれば、少し離れた先で夕日に並び立つ皆がいる。
仲間がいない今、彼等の存在は悪くはないものだと、そう思いながら重たい足を上げて一歩一歩を踏みしめる。
――ただ、
この瞬間にも若干の胸騒ぎが起こっている。
けれどもそれは、自分の考えすぎなのではないかと思い、見過ごした。
それでもそこにあったのは――、
もしかしたら、もしかしたらなのだが、
この冒険はまだ、始まってすらいないのではないか。
そういう疑念だけが、残っていた――。
          
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